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桜舞う

「仮に、本当にそうだったとしても、僕が傷つくだけで、何にもならないんだから!」

逃げるように駆け出した後ろで十月の呼ぶ声が聞こえたが構わずに詠は走った

「詠!また柳がこの屋敷に泊まる日がきたら隙を見て夜ここに来てみろ!」

義孝の熱のない視線が脳裏に蘇ってくる

愛されていない

そんなことは詠が一番よく知っているのだ

それでもどこかで、もしかしたらと期待する自分もいて

心がゆっくりと引き裂かれ擦り切れていく

それでも殺しきれない気持ちは

詠の紛れもない恋なのだろう

どうすればいいのかなんかわからない

走りながら詠はただ唇を噛んだ





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あきゅろす。
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