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桜舞う

優しく微笑む義孝に詠の気持ちも柔らかくほぐれていく

「………………ありがとう」

恥ずかしくなってコーヒーを飲み干せば義孝の手が不意に離れてじっと詠を見つめていた

「今日は見せたいものがあって来たんです。もしよかったら電気を消してもらえますか?」

「え、あ、はい」

パチンと詠が電気を消すと室内は暗く雨音だけが響いた

足元が暗くみえなくて手探りでソファーまで戻る

見えなくて手探りしていると義孝の輪郭に触れてしまい慌てて手を離そうとするとその手をとられた

「………見ていてください」

チュッと指先に義孝の唇が触れたかと思うと淡い光が部屋に浮かんだ

赤と黄と緑の淡い光り

それは義孝の手の中に浮かんでいた

「うわあ………きれい」

詠の感嘆の言葉に義孝の手が髪に触れてくる

暗くて見えないけれど義孝が笑った気配がした

「蛍石です。綺麗でしょう?紫外線ライトで光るんです」

パチンと何かを消す音がすると石の光りも消えてしまった

「………あ、消えちゃった」

残念だと思う反面、義孝の熱い視線を闇の中から感じた



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あきゅろす。
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