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桜舞う


「レポートをまとめなきゃいけなかったんですけど、手付かずで………雨を見ていました。あ、何か飲みます?コーヒーくらいしかないですけど」

「いや、おかまいなく。使用人さんをお茶の為にこの時間に呼ぶのは……」

義孝の続く言葉を無視して詠は部屋にあるポットに向かった

義孝の視線が後ろから追ってきているのが解ったが詠は黙ってインスタントコーヒーをいれて義孝の前にマグカップを置いた

「使用人さんは呼べませんし来ないですよ。だからインスタントで我慢してください。父親が僕と使用人との間に間違いがあったら困るからって夜は出入り禁止なんです」

義孝の横に座って詠が自分のマグカップを差し出せば義孝も気がついてマグカップを合わせる

2人の乾杯はマグカップだからか鈍い音を立てた

コーヒーをちびちびと飲む

「それはまた………いや、いいことですよ」

「そうかな?信用がないのかなって思います」

寂しい気持ちになっているとそっと義孝の手が詠の手に重なった

義孝の大きな骨ばった手は温かい

「信用がないだなんて、そんなことはないですよ」



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あきゅろす。
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