ハッピーライフ
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目が覚めたらそこは豪邸でした
揺賀風(ゆるがふう)は自分の置かれている状態がいわゆる拘束されていると気付くや否や目の前に伸し掛かる人物に低い声で唸ってみせた
「ふざけんなよテメェ!」
「やだぁ、風ちゃん怖い」
おとぎ話のお姫さまが眠っていそうな天蓋つき巨大ベッドに手枷をされ万歳の形で仰向けに寝かされている風の腹の上にはくねくねと身を捩らし両頬を両手に添えて恥じらう男がいた
そうこれは男だ
しかも幼馴染み
いくら睫毛ばしばしの肌肌理細かい美少女の風貌をしていようとも
少し赤みがかった長い髪をツインテールでピンクのリボンをつけていようとも
そして何よりセーラー服にニーソックスをはいていようとも腹の上に乗った比賀権造(ひがごんぞう)は男だ
今日は学校帰りにあまりに権造がしつこかったから諦めて権造の家に寄ったのだが間違いだったようだ
因みに権造がセーラー服姿なのは私学だが校則の厳しい高等学校に信じられないことにセーラー服で通っているせいだ
多分、妙な性癖をもった権造を全面でバックアップしている親が金を積んだに違いないと俺は見ている
「権造てめぇっ!久しぶりに遊びに来てやった友達のジュースに何か混ぜるのはやめろ!!これ外せ!」
がしがしと手首を動かすものの手枷は案外丈夫でびくともしない
「いやっ!!風ちゃん!権造って呼ばないで!コンちゃんって呼んで!」
悲愴な顔で首に縋る権造を悍ましい気持ちで振り払いたいが美少女のようでもやはり男
力が強すぎてびくともしない
「アホか、お前は!どんなに取り繕ってもお前は権造だ!はやく腹のうえから退いてこれ外せ!」
再び怒鳴ると権造はスッとその綺麗な瞳を爬虫類のように細めた
美少女の姿なのに獰猛な雄の目
背筋がぞわりとする
「そんな事言っちゃていいんだー。今なら何でも僕の自由なのにぃ。悪戯しちゃおっかなー」
制服の白いYシャツに権造がするりと手を伸ばしてぷちぷちとボタンを外していく
「お………おい!ちょっ………やめろよ!!」
焦る俺を尻目に権造はシャツを肌蹴るとにんまりと笑った
「こんなの困る?西宮にバレたらどうなるんだろうね?」
胸に指を滑らせてキュッと胸の尖りを摘むと権造は悪戯っぽく笑った
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