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月夜に駆ける ルクガイVer. ルクガイ
※フリリク第二弾の白光騎士団×ガイに繋がる話です。
次はルーク編

屋敷が寝静まるには、幾分か早い時間。ガイは人の目につかぬように注意を払いながら離れへを足早に歩く。
窓か、扉か、と一瞬選択に迷うが、この時間窓から侵入するところを万が一誰かに見られれば、言い訳が苦しくなる。
無難に扉を選択し小さく叩くと「入れよ」と中から声がかかる。
素早く中に身を滑らせ、静かにドアを閉める。
「急にどうした」
声を潜め、だがきっぱりと言い放つ。だが、ベッドの上で胡座をかいているルークは気にした様子もなく笑う。
「俺がしたくなった。これ以上の理由他にあるか?」
傲慢な物言いだが、裏がないぶん以前とは違い気に障る事もない。少年らしい不器用さや、偏った愛情による寂しさからくる態度だとわかっているからだ。
ただこれが他のことならば、の話である。
目の前の少年が夜中に彼を呼び出す理由は一つなのだ。
ゆっくりを手を空にあげて、扉で立ったままのガイに掌を差し出す。誘うように。
「来いよ」
「今日はしないんじゃないのか」
扉のところからガイは動こうとはしない。
「んなの誰が決めたんだよ」
決めているわけではない。だが、ヴァンが屋敷を訪ねれば、ガイの存在は少年のなかでは二の次になる。
「あ、ガイいつからいたんだ」と言われたことなど両手に上る。
ヴァンが宿泊すれば、俺の事など頭からすっぽり忘れているくせに。と、ガイはやれやれと肩を竦めたい衝動に駆られる。
いつもならば、これみよがしなため息をついてベッドに近づくガイであったが、今日は事情があり、扉の前から歩き出そうとはしなかった。
約束を交わしているのだ。
それを口にすればルークは「俺を優先するのが当然だろ!」と言い出すのは火を見るより明らかだ。
どうしたもんかね、とルークの機嫌を損ねないように、この場から去る道を探るガイに、焦れたルークがついに切れる。
「んだよっ」
ベッドから飛び降りると、そのままヅカヅカとガイとの距離を縮め、乱暴に腕をつかむ。
「俺の誘いがきけねーのかよ」
誘い?命令の間違えだろ、とからかいたいが、ガイを見上げるルークの翡翠の双眸は剣呑な色を乗せている。
まずったな、とガイは内心で舌打ちする。こうなればルークはとことん我儘を貫き通す。
約束の時間までに、今から始まるルークとのセックスが終わればいいんだが、と諦観のため息をそっと吐きながら、ぐいぐいと引かれるままに素直についていく。


シャツのボタンに手をかけるガイに、「俺がする!」とルークが言い出す。思わずキョトンと目を丸くする。
どうしたルーク、と尋ねたいがそういう雰囲気ではなかった。ベッドの上で向かい合う形になっているガイのシャツに真剣な表情でルークは手をかける。
とても口を挟めずにいる。
「いつものシャツじゃねえのかよ」
ブツブツ文句を言うルークに「仕方ないだろ、急にお前が呼び出すから」と言葉を返す。いつものシャツなら俺はこんなにもたつかないからな、と言いたげなルークにガイは首をかしげたくなる。
今日のルークはあまりにいつもと違う。
シャツのボタンを外すのに懸命になり、自然とルークは俯く形になる。赤い髪がさらさらを揺れるのをガイはじっと見つめる。
なんだか、こうくすぐったいような。いつもはこうして自分の、そして相手のボタンを外すのはガイの役目だ。
肌が外気に晒される事で、漸くルークの「はじめて」が無事達成できた事をしる。
頭を撫でて褒めてやればいいだろうか。いや間違いなくふてくされるな、と一瞬で打ち消す。
ルークは記憶を辿るように、視線を上にあげながら、小声で何かつぶやいている。あまりに小さくて、ふたりきりの静かな空間であるのに、断片くらいしかガイは聞き取れない。
徐にガイの首にルークは顔を寄せる。
ガイは慌ててルークを引き剥がす。
「おい、だめだ」
「何が」
苛立つのを隠しもしないルークに、ガイも負けじと語気を強める。
「跡つけるのは絶対駄目だ」
ガイが約束を交わしている幼なじみはとても目聡い。夜目であろうともルークの痕跡をみつけるだろう。だが、何も言わない。その時は。
だが、ガイがほっと安堵し精神を弛緩させた刹那、さも今気づいたというように、それに触れてガイの反応を窺うのだ。
バレバレだとわかっていながらも、今の季節はとんとみかけない虫のせいにして誤魔化す。
ウソだと知っていながらも、それは大変でしたな、と労る言葉とは裏腹な眼差しを向けてくる。
一瞬で空気が重くなり、いたずらが母親にばれた子どものように居た堪れなくなるのを思い出して、ガイを陰鬱な気持ちに陥る。
ガイの語気の強さにおされたのが、ルークは素直にそれを受け入れ、唇を肌に触れるだけに留まらせた。
乾いた唇が肌を滑っていく感覚、吐息が肌に触れる感覚。それだけでガイは首を竦ませる。
跡を残さぬかわりに、濡れた舌で首筋を舐め上げていく。
んっ、と甘い吐息が鼻からぬける。
ルークのTシャツの袖を掴んで、なんとか堪えようとする。
ルークは頭をゆっくりと下げて、鎖骨の窪みを舐め、それから前触れもなく胸の頂きに吸いつく。
突然の刺激にガイの腰が跳ね上がり「や、めっ」と抗議の声をあげるが、構わずにきつく吸い上げるルークによって言葉は出てこずに、色づいた吐息だけを漏らす。
ルークの手はガイの脇や背を撫でていたが、ガイの意識がルークの与える胸への刺激にだけ向けられると、ガイのスボンに手をかける。
いつもガイが着用している伸縮性に富んだものではないため、するりと手を差し入れることが出来ない。
多少もたつきながら、ズボンの前をくつろげさせる事に成功する。
緩やかに熱を持ち始めたものを下着越しに触れると、ガイはビクリと身体を震わせる。
いつもとは違い、一方的に愛撫だけを受けている。
それに慣れないガイは、与えられる刺激に陶然としながらも、どこか居心地が悪い。
言われるがままに腰を浮かせて、スボンを剥ぎ取られる。
そして。
眼下の光景に、脳天まで駆け上がるような刺激に、ガイは思わず叫びだしそうになる。


ルークが、ガイの性器を咥え込んだせいで。


ルークはされる事はあってもする事など今までになかった。
そのため、まさに咥え込むというだけで、舌を使うわけでなし、頭を動かすわけでもない。
拙い以前のレベルであるが、それでもガイにとっては初めての刺激だ。
性器を柔らかで濡れた口内で包まれる事は、予想以上の快楽であった。
そしてそれ以上に、ルークが咥え込んでいる光景は、あまりに彼とは不釣合いだった。
「やめ、な、なに、かんがえて、んだ」
身体は甘い刺激に素直に反応をみせはじめたが、頭では逆に自分たちがとても「いやらしい事」をしているのだと突きつけられたようでガイは居た堪れなくなる。
強引に肩にてをかけて引き剥がすと、んだよ、と見上げてくるルークの瞳は険しい光を宿している。
早くこの場を違う方向にもっていかないと、ルークはとんでもない方向に暴走しかねない。
誰に何を吹きこまれたか、もしくはろくでもない本でも読んだのか。だがそんな詮索は後回しにする。
ルークの口を親指の腹で拭う。それすらも嫌そうに顔をそむけようとする。
かなりご機嫌はナナメらしい。
仕方ないので、ガイは顔を寄せて、唇を重ねる。舌で下唇をゆっくり舐めて清め、内部に舌を差し入れる。
口内全てを舐めとるように動こうとするガイの舌をルークの舌に絡め取られて、吸い上げられる。
「んっ……」
逆にルークの舌がガイの口内を蠢く。上顎を舌でなぞられると、背がぞくぞくと震え、身体が熱くなっていく。
ようやく離れた時、唇は赤く色づき二人の唾液で光っている。
そのままガイはベッドに押し倒され、覆いかぶさってきたルークから噛み付くような荒々しい口づけを受ける。


性急に身体を割り開かれ、苦痛に声にならない悲鳴をあげたが、慣れとは恐ろしいものでそれでも内部を擦られていくうちに快楽を身体が見出していく。
ルークも一度ガイの内部で達した後は、先ほどまでのガツガツと激しく腰を打ち付けるやりかたではなく、余裕をもちながらガイの中をゆっくり抜き差しする。
緩やかに与えられる快楽に、ふっふっと繰り返し吐く息が甘く艶やかになっていく。
耳たぶを優しく食まれ、背がぞくぞくと震える。
濡れた内部をルークのものが引きぬかれ、また押し戻すたびにジュブジュブと水音がたつ。
耳にかかる熱い息と共に、それがガイの鼓膜を震わせる。
緩やかに揺さぶられる事にもどかしさを覚え、ルークの首に腕を回す。
「ふ、ンッ、も、っと……」
誘う言葉に、ルークは激しく腰を打ち始める。
肉のぶつかり合う乾いた音と、その激しさとは裏腹に、目尻や頬に落とされる唇はあまりに優しく穏やかで、何故かガイは無性に泣きたくなる。
律動にあわせて扱かれると「あぁ、あっ、んっ、ハァッ……、もっ、と…」喘ぎ乱れていく。
ポタポタと汗をガイの身体に落としながら、ルークはガイの名をよぶ。
そして小さく、愛の言葉を紡いだ。


*******


すーすーとやすらかな寝息がベッドから聞こえてくる。
身体を重ねあった後、もう眠たそうにしているルークを半ば強引に浴室まで連れていき、身体を清めてから寝衣を着させてやった。
腰は重く、足にあまり力ははいらないが、ガイがしてやらないとルークは情交の後を残したまま朝まで寝てしまうのは明白だからだ。
ベッドにルークを押しこんでから、浴室で一人後処理をしている最中、はた、と約束をガイは思い出す。
慌てて、身体を拭いてシャツを軽く引っ掛けて、ルークの部屋から飛び出そうとしたときに、ベッドから寝ぼけた声で「ガイー」と名を呼ばれ、足を止める。
様子を窺うと、どうやら寝言だったらしく、再び穏やかな寝息が耳に届く。
詰めていた息をそっと漏らすと、口は微笑の形になる。
どんな夢みてんだか、と呆れた口調で小さく漏らす。だが表情は満更でもない様子で、中庭へと続く扉に手をかける。
先程のルークの言葉が脳裏を過ぎる。
引きずられそうになる思いを払うように頭を振る。
瞼を閉じれば蘇ってくる、過去の故郷の情景。もう見えることのない人々の笑顔。
それが一瞬で屋敷が炎に包まれ、見知った顔が苦悶で歪んで息絶える姿。
瞼の奥がじんと熱くなる。
大丈夫、まだ、俺は殺せる。
胸の奥に確かな殺意があることに安堵して、扉のノブをガイは回す。
その手が僅かに震えている事に気づくこと無く。





二三回書きなおしてしまい、間に合わないと本気であたふたしました。
纏まりがないし、書きたい部分を書いていたら話が終わらないので、ガツガツ削ったので、いつか違う形で頑張りたいです。

ちなみに明日はヴァンガイですが、ルートが三つに分岐している感じですので、ガイは公爵とルークとヴァンと三股かけているわけじゃないです(当たり前だ



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