―はずれかけた枷―(全4P) 「見て、ヴァンデスデルカ星が沢山」 そっと隣を歩くヴァンデスデルカの袖を引いて空を指差した 「今日は綺麗な夜空ですからね」 「何だか、宝石みたいだ」 俺はヴァンデスデルカに笑って欲しくて笑顔を見せればヴァンデスデルカはそれに答えて笑ってくれる それが嬉しくて、俺の心は星屑を散りばめたように輝いた 「明日はガイラルディア様の誕生日ですから星も祝福して下さっているのかもしれませんね」 「大袈裟だよヴァンデスデルカ、僕はそんなに偉くないよ」 「私にとっては貴方様が一番ですが」 「それは、この前の剣を捧げるって言ったから?」 「ガルディオス伯爵様から言われましたが、明日正式に儀式を執り行うそうです」 「えっ」 「私は明日、正式に貴公の騎士となり、剣となり、盾になる。これ程名誉な事はございません」 「ヴァンデスデルカ」 「ガイラルディア様、明日もう一度ここに星を見に来ましょう。私と貴方の新たな関係をこの美しい夜空に報告をしに」 「うん、約束だよヴァンデスデルカ」 「はい」 指切りをしてヴァンデスデルカは僕に忠誠を誓うキスを手の甲に落とす 照れ臭かったけど、ヴァンデスデルカのこの行為は嫌いじゃない だから僕は受け入れた ヴァンデスデルカを受け入れた それは明日、皆に認められる 明日・・・ 明日、それは全て踏みにじられて消されるのに この時の俺は早く明日が来ないかと楽しみにしていた。残酷な明日に胸踊らせていたんだ 2 |