創作小説 『スパイシー☆キャンディ2』
6
「……コレ…すげぇ固ぇんだけど」
武は半眼でななを睨む。
ななは「む…」と唸り、
「何さっ、せっかく彼女が作ってあげた愛情りょーりにケチつけて。よく噛んで食べりゃいーだけじゃんかぁ!」
「顎取れちまうだろ! 何だよこの固さは!?」
「もーっ! ソレはいーから、じゃ次味噌汁行ってみて!」
「コレもお前かよぉっ!?」
「むーっ!」
むくれているななと仏頂面の武を見比べ、清美は「ふふふ」と笑った。
ななはクルッと清美に振り向き訴える。
「清美さぁん。タケシって好き嫌い多いよねーっ」
「っていうか…ね」
と、清美はクスクス笑っている。
武はあきらめの表情で「じる…」と味噌汁を吸い、
「姉ちゃんも悪いよな。コイツ止めねぇんだからよ」
ななが何か言いかける前に清美が先立ってフォローし、
「あら。頑張ってたわよ、ななちゃん。あんたに食べてもらうの楽しみにして。可愛いじゃないの」
「でねタケシ♪ タケシの好物聞いてあるから今度作ってあげ――」
「いらんっ」
「何で即答すんのさーっ!」
ななが床を踏み鳴らして立ち上がる。
「遠慮なんかしてたらどんな目に遭うか分かんねーだろが!」
「むがーっ!」
武も立ち上がりかけるのを見て、清美がピシャリと制する。
「座りなさい、2人共。食事中でしょ」
2人は冷や水を浴びたように大人しくなり、黙々と食事に戻った。
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