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創作短編『聖なる夜に〜とある都会の片隅で〜』
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「わーい♪ ありがと」

軽くなったカゴを持ちニコニコする巴里を見て、(単純な奴め)と菅山はあきれ返った。

ヘルプに付けてもとんちんかんな言動で客を困惑させるまだまだ使えない女ながら、この邪気のない天然の笑顔は最大の武器だな…と菅山は思うのだった。

自分にこの笑顔が向けられるのはなかなか悪い気はしない。

こんな状況ながら。

「なぁ。今日仕事終わってから予定とかあんの?」

一応クリスマスだし、もしフリーなら食事でも誘うか…と思い尋ねてみる。

「うんっ。早く帰ってあったまりたい〜〜」

ガクガクガク…と膝を震わせながら歯の根の合わない声で返答する巴里。

「…いや、そーいうんじゃなくて」

「あったかいココア飲んで〜、お鍋でも食べてあったまって〜、お風呂に浸かった後お布団に潜り込んでぬくぬくしたいよぉ〜〜」

菅山は一気にシラケた。

「いや、もういいや別に」

「ふぇ?」

「オラ仕事だ仕事! 働けヨーロッパが」

「パリイだってば…」



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