創作短編『聖なる夜に〜とある都会の片隅で〜』
@
木枯らしの吹く寒空の下、トナカイの格好をした女の子が雑踏に向かってティッシュを差し出していた。
「よかったらどうぞー」
と、サラリーマン風のおじさんに店名の入ったティッシュを手渡す。
「ん――あぁ、ありがとう。お姉ちゃん、鼻真っ赤だよ〜?」
「あはは〜、トナカイですから」
「寒いのに大変だよね。風邪引かないようにね」
おじさんはふところにティッシュを押し込み、手を振って人波に紛れて行った。
トナカイ娘・山本 巴里(やまもと ぱりい)は「ふはぁ…」と白いため息をつく。
「うぅ、何でこんな目に〜…」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!