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創作小説 『陽だまりヶ丘のひまわり』
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「龍ちゃん?」

眠り込んでいるのならそっとしておくつもりで、話しかけてみる。

「…まだ居たのか」

「あのね、そのシャツとズボンお洗濯して、破れ目を縫ってキレイにしてあげる。だから着替えてそれを渡してくれない?」

龍寺はごろりと背を向けた。

「いいよ。要らん事すんな」

「だって…私が気になるの」

「替えがねぇからこれ着てんだろが」

「他の皆さんはもう少しまともな格好してるわ。どうして龍ちゃんだけいつもそんな格好してるの?」

「うるせぇな、悪いかよ。あいつらはあれでも一応格好は気にしているようだが、俺はそんなのどうだっていいんだ。何も着なくたっていいぐらいだ。風呂もずっと入ってねぇしな、その辺の川で水浴びるだけさ。分かったか、俺は不潔だからもう近寄って来んな」

「まぁ…」

沙雪は絶句し、龍寺もそれきり黙り込んでしまった。

(こんな人本当に居るものなのね…テレビではよく聞くけれど)

――どのくらい時が過ぎただろうか。

ぽかぽか暖かい陽気と、気持ちがスッとなるような爽やかな風に吹かれながら、ぼぅっと龍寺の背中を見つめていた。

そうしていると、無性に彼に触れてみたくなって来るのだった。

眠っているのなら…今なら、少しくらい……。

沙雪は、龍寺に自分の影が被らないようにそっと遠回りすると、彼の頭から数歩距離を取ってしゃがんだ。

龍寺は目を閉じて静かな寝息をたてている。

ふいに、きゅんと切ない感覚が胸をよぎる。

そっと手を伸ばして…そのまま固まってしまう。

沙雪はゆっくりと立ち上がると、忍び足でその場を去って行った…。



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あきゅろす。
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