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創作小説 『陽だまりヶ丘のひまわり』

「まぁ、どこへ行ってたの! 連絡も寄越さないで、もう!」

「ごめんなさい…」

沙雪は玄関に立たされたまま、母・真由子にこっぴどく叱られていた。

「本当に、もう…。お父さんだって気に病んでらしたのよ?」

「それは、ごめんなさい…」

「お母さーん、後にしなよ。お姉ちゃん夕ご飯まだでしょ?」

その時ちょうど、ふらりと妹の小雪がやって来た。

真由子はひと思案して沙雪を睨んでから、

「…そうね。なら、お上がりなさい。夕ご飯を温め直して来ます」

着物の裾をひらりとさせて、母は奥へ小走りして行った。

すかさず小雪が沙雪に寄って来る。

「で・も! お姉ちゃんもついに♪」

「あら、何が?」

「とぼけなさんなって!」

肘で沙雪の脇を突ついて来る。

風呂を浴びたのか、小雪は湯上がりの匂いをさせていた。

「いい事して来たんでしょうが♪」

「痛いわよ、もう…」

「甘い甘〜い彼との時間に酔って、腰も抜け切っちゃってるのね。やるじゃんかー!」

グヒヒヒヒ…と忍んで笑いつつ、小雪は奥の自室へと引っ込んで行った。

「相変わらずよく分からない子ね…」

何故そんな発想になるのか、沙雪には理解出来なかった。

(いい事だなんて飛んでもない! 今日は厄日だったわよ。でも…)

龍寺の事が浮かぶ。

「会えるといいのに、また」

小さく呟く。

「帰ったか」

ふいに父の声がして、沙雪はビクンと震えた。

「門限を破ってごめんなさい。お説教は後で受ける覚悟です」

「いや、その事はもういい。それより、晩飯が済んだらワシの書斎へ来てくれんか。ひとつ大事な話があっての」

「はい。分かりました」

「ふむ」

ひとつ頷くと、父・明俚 千之助(あかり せんのすけ)は顎髭をさすりながら奥へと引っ込んで行った。



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あきゅろす。
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