創作小説 『スパイシー☆キャンディ』
7
「おい、敵って」
あきれる武に近寄り、すがるような眼差しでななは訴えた。
「アタシを毒殺しよーとか企んでたらどうしよう! 誕生日なのに死にたくないよーっ! タケシ絶っ対助けてね!!」
あまりにもバカらしいななの発想に、武はあきれ返った。
「んな事すっかよ。お前じゃあるまいし」
「どーゆー意味だソレは!」
ガルッ、と猛獣のような勢いでななが武に迫った時――
コンコン、とドアをノックする音がした。
ななはハッとして、弾かれたようにドアの方を振り向く。
「支度出来たわよ。来なさい」
ドアの向こうから清美が声をかけて来た。
「おう、分かった。今行く」
武が返事を返すと、清美の足音がスタスタと遠去かって行った…。
ななは固まったままゴクンと唾を飲み込む。
そんなななを気にするふうでもなく、武はのっそりと立ち上がった。
「よし。じゃ行くか」
「うんっ…」
覚悟を決めてななも立ち上がり――ぎゅっと武の手を握った。
少し痛いくらいちからを込めて来るななを、ギョッとして見る。
「わっ、何だよ!?」
「離さないでよね」
ななは真っ直ぐにドアを睨み付けたままで、武の方を見る余裕はもうなかった…。
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