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創作小説 『スパイシー☆キャンディ』

抱き合ったままイチャイチャしていた2人だったが――

ぐぎゅるるる……

「…おい」

武は下の方から割り入って来た異音に萎えて、音の主に文句を垂れる。

「何だよ、その腹の音は」

半眼でななを見下ろすと、うつ向きながらススス…と武から離れて後退して行く。

さすがにちょっと照れているのか、頬を赤くしている。

チラッと武を見上げ、

「けどさぁ。ホントに清美さん、アタシにごちそうしてくれるなんて言ってたの?」

そう――武からそのように聞かされて、2人して今武の部屋で待機している所だった。

さっき武の家を訪れた時、台所に立つ清美の後ろ姿はチラリと見えたのだが、ななは挨拶もせずにそそくさと武の部屋に引っ込んでしまっていた。

食事目的という事で昼ご飯や間食をいつもより控えめにして来たななだったが、夕暮れ時になり空腹になって来たので、だんだん不安になっていた。

今武の部屋には菓子など何も無い為、応急処置も出来ず、さっきからお腹の虫がぐぅぐぅ騒いでいる。

武は背後のベッドに片腕を掛けてもたれ、

「言ってたぜ。ホントだろ。材料とかも買って来てたみたいだし」

「むーん…」

ななは珍しく神妙な面持ちで、床の一点に視線を落としたままじっと考え込んでいる。

「よく考えたら、敵であるアタシにそんな事しようなんておかしいんだよね…」



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