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創作小説 『スパイシー☆キャンディ』

「“愛してる”って言ってよ」

ななにズイッと迫られて、武は一瞬思考が固まった。

何を言われたか理解すると、困惑顔で引き気味になる。

「今日ならいーでしょ。言ってくれたって」

「ん、んな事、素で言えっかよ…」

「言えないのっ!?」

じりじりと後退する武に、ななは鬼の形相で迫った。

武にまたがって馬乗りになると、その武の首の後ろに両手を回して組み、至近距離から顔を覗き込んだ。

武は困り果てて、半笑いにすらなっている。

「わーっ、て、ちょっと待てよ! そんなん無理矢理言わせるもんじゃねーだろが!」

「そーでもしないと一生言ってくれないでしょ! さぁ、今日は何の日だ!」

武はあきらめて、すぐそばにあるななの顔からチラチラと視線を外しながらも答える。

「…お前の誕生日だろ」

「お前って誰さ!」

「て、そっから言わすのかよ!? 分かってんだからいーじゃねぇか!」

「普段あんまし名前呼んでくれないんだから、誕生日くらいは聞きたいよねー」

早くこの状況から逃れたい事もあり、武は渋々答える。

「ちっ、言やいーんだろ…ななの誕生日だよ今日は」

「なら言えっ!」

ななはおでこをくっ付け合うと、至近距離から上目遣いで武の目を見つめて来る。

武はやたらと恥ずかしくなって耳まで真っ赤にしながらも、ななの目を見つめ返した。

「あ…愛してるよ」

「誰を?」

「っ…おま――じゃなっ、ななだよ。て、分かってんだろが! あー! やりにくいな、んっとに…」

わしゃわしゃと頭を掻く武にまだ抱き着いたまま、ななはニンマリと得意げに笑っている。

「アタシもタケシの事愛してるよ。ちゃんと――って事はないけど一応言えたから、ごほーびね」

いつになく優しい口調でそう言うと、武にそっと口づけた…。



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あきゅろす。
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