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創作小説 『スパイシー☆キャンディ』

「いや、無理だろ」

武の呟きが聞こえなかったようで、ななは顔を上げてゆるく笑みを浮かべた。

「いつかいい感じになれるといいな、お姉さんと」

ななは少し元気になったのか、やっとお茶をコクコクと飲んだ。

「ねぇ、お姉さんって名前は?」

そう言えば知らないな、と思って尋ねる。

「清美」

「そっか。じゃあ――清美さんと、仲良くなれるといいな♪」

はにかんで、へへっと笑う。

これまでのななを思うと、すごい進歩だ。

あんなに姉を嫌っていたのに、どういう心境の変化なのか…。

よく分からないものの、武は内心ホッとしていた。

「まぁさ、俺もなるたけ協力するから。お前と姉ちゃんが仲悪いと、俺にもとばっちり来るし…て、それもそうだけど、自分の彼女悪く言われんのはやっぱつらいもんあるしな」

「はぁ…。タケシがかいしょーなしのせいで、アタシがイメージダウンしちゃうんだよなー」

「はァ!? ちょっと待てって。それは全部お前のせいだろが!」

頬杖をついてジト目を送って来るななに理不尽な事を言われ、武は憤慨したが――。

「言ってみただけだよ。“かいしょーなし”って意味よく分かんないし」

「な゛っ…!」

武はコントのようにガクッとコケた。

「それよりさタケシ。清美さんって学生の頃から付き合ってる彼氏とか居んの?」

目をランランとさせてちゃぶ台に上半身を乗っけるような勢いで身を乗り出して来るななに、武は呆れて苦笑いして、

「何かヤバイもん見たのかよ…。知らねぇよ俺は。姉ちゃんそういう話しねぇもん。彼氏居る感じとかも今までサッパリなかったけどな」

「そーなんだ。へー」

フムフムと頷くななに、今度は武が身を乗り出した。

「何見たんだ? なぁ」

ななは意地悪な顔で「ふふ」と含み笑いして、

「教えないもん。ダメだもん」

「俺も知らねぇ事をお前が知ってる方がダメだろが。嫌われてんだし」

「いーの!」

ななは座ったまま腰に手を当ててふんぞり返った。

「アタシは女なんだからっ」

「はぁ…? 分かんねぇよ」

ひたすら首をひねる武だったが、何故かななが調子に乗っているのが気に食わなかった…。



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あきゅろす。
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