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創作小説 『スパイシー☆キャンディ』

武は出入口の所に立ち、渋い顔をしている。

「おっ前…早く出て来いよ」

ななは写真立てを裏返して、元通りにそっと仕舞った。

武に背を向けたままうなだれ、

「お姉さんの部屋勝手に入っちゃってごめん。でもさ、このままじゃ…お姉さんの事何にも知らないままじゃ、少しでも仲良くなる事なんて出来ないよ」

「…かも知れねぇけど、とにかく出ろって」

珍しくしおらしいななに戸惑いながらも、武は促した。

「…うん」

ななは武をチラッと振り向き、小さく頷いた。

――さっきの続きを〜と思った武だが、ななが「もうそんな気分じゃない」と言うので、あきらめて居間に移った。

冷蔵庫からお茶を出してコップに2人分注ぐ。

ひと口飲み、

「姉ちゃんと仲良くなりたいのか?」

と尋ねる。

ななはペタンと座り込んで、両手で包んだコップに目を落としたまま、

「仲良く…って言うか、上手く行きたいっては思うよ。当然じゃん」

武は耳の後ろ辺りをポリッと掻いた後、あぐらを崩して方膝を立てた。

「けど焦んなくていいじゃねぇか。時間が要る事だってあんだし」

「んー…」

ななはその後しばらく黙ったままだったが、

「アタシさ、お姉ちゃんって小っちゃい頃から欲しかったんだよね。もしかしたら、お姉ちゃんが居たらアタシもっと女の子らしくなれてたかも知んない」



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