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青空の下を一緒に
突然に…



いつも私が思うこと…それは好きな『あの人』に会いたい。
会えるはずないのはわかってる。
でも会いたいと願ってしまう。
この現実世界の男の子には全然興味がない。
昔も今もそれは変わらない。
「華月は彼氏作らないの?」
「何?そんな急に…」


イチゴポッキーを食べながら親友を見る。
親友の名前は真樹。
小学校から高校までずっと一緒。
「興味ない」
「あのキャラが好きなの?」
「大好き!強くてカッコいいもん!」
そう言った。


大好きは人とはドラゴンボールの主人公『孫悟空』
彼はまさに私の理想。
叶うはずないとはわかってるけど会ってみたい。
午後の授業開始のベルが鳴った。
「やっば!早く戻んないと先生うるさいよ?」
「ちょっと待っ…」
屋上のちょっと高い屋根に座っていた。


真樹は飛び降りた。
私も飛び降りようとした。
その時体がふらついた。
(え…)
風は吹いてない。
めまいとも違う。
私はそのまま屋上から落ちていった。


「華月ー!」
真樹の声が遠くに聞こえた。
まるで夢を見ているかのようだった。
ゆっくりと地面に向かって落ちていく。
(このまま死んじゃうの…?ヤダ!死にたくない!)
強くそう思った。
意識が遠くなっていった。


華月は意識を失った。
強い光が華月の体を包んだ。
そしてその光と共に華月は消えた。
担任と一緒にグラウンドへ真樹が来た。
「華月が落ちて…」
「落ち着け真樹」
そう言った。


華月の姿はどこにもなかった。
「嘘…いない…」
「華月はどこにもいないじゃないか?」
「でも確かに目の前で屋上から落ちて…」
(華月…まさか消えちゃったとか…?)
華月を心配していた。





光はゆっくり華月をおろした。
そして光が消えた。
暫くして目を覚ました。
「んっ…」
起き上がった。
体や両手を見た。
擦り傷一つなかった。


(あの高さから落ちたのに…一つも怪我をしてない…)
不思議に思っていた。
もう一つ不思議なことに気がついた。
自分がいる場所だった。
見覚えのない場所だった。
「学校じゃないし…家の近所でもない…」
立ち上がり少し歩いた。


この場所にさっぱり見覚えがなかった。
どこかの山の丘だとはわかった。
どうやってここに来たのか。
ここはどこなのかわからないことばかりだった。
「……ここどこーーー!?」
と叫んでも誰も何も反応はなかった。



膝を抱えじっと景色を見ていた。
緑ばかりで何もない山の上。
どうしたらいいのか何もわからなかった。
(どうしてこんな所に来ちゃったんだろう…)
制服のポケットからスマホを出した。
電波がないらしく『圏外』と書かれていた。
「け…圏外ってあり得ない!」


愕然とした。
涙が出てきた。
(帰りたい…)
そう思った。
涙を拭いて立ち上がった。
「ここじゃ何も出来ない!」
そして山を降りようと決めた。


改めて回りを見た。
何度見ても見覚えがなかった。
「ここって私の知ってる場所じゃないよねやっぱり…」
何がどうなってるんだろう?と思っていた。
山道を降りても家はなかった。
(田舎なのかな?)
さっきまで学校にいて屋上から落ちて死ぬと思った。


途中から記憶はない。
目が覚めたら見知らぬ場所。
何とかして学校に帰らなきゃ。
適当に歩くと大きな街についた。
街はたくさん人がいた。
「この街も知らない…」
(やっぱりここは私の知らないところ…)


私は突然寂しくなった。
泣きたくなってきたのを堪えた。
そして女の人の腕を掴んだ。
女の人は驚いていた。
「きゃ…何?」
「あの…この街は何て言う名前の街ですか?」
そう聞いた。


女の人は驚いていた。
私は真剣だった。
「ここは西の都よ…」
そう言った。
私は手を離した。
『西の都』…。
初めて聞く名前だった。


呆然としてベンチに座った。
(西の都って…そんな街の名前聞いたことも…)
「『西の都』……もしかしてここって……」
ドラゴンボールの世界

いやいや…落ち着け私!
あり得ないから!
屋上から落ちて気がついたらトリップしてたなんてそんな漫画みたいなことおきないから!
偶然だって!
頭を思いきり振った。
もう一度スマホを出した。


画面の端に『圏外』の文字が出ていた。
(自分の住んでる世界ならスマホが街の中で圏外なんてあり得ない…でも街にいても圏外…)
不安が募ってきた。
誰も知ってる人がいない世界。
こんなの現実なわけない。
思いきり頬をつねる。


夢じゃないと痛みが伝えていた。
「夢じゃないんだ…どうやって帰れば…」
(待って…学校の屋上から落ちてここに来たなら…)
「もう一度高い所から落ちれば帰れる!」
そう考えた。
そして高い建物を探した。
目立つ高い建物を見つけた。


その建物を目指し走った。
そして建物の中に入った。
『関係者以外立ち入り禁止』の看板をくぐった。
そして息を切らしながら屋上に来た。
下を見ると目眩がした。
(この高さを自分から飛ぶって…かなり無謀かも…)
「でも帰れるかもしれないし……帰れなかったらただの自殺だよね…」


(自分がいた世界に帰るために…!)
「いっけー!!」
覚悟を決め助走をつけ飛んだ。
きつく目を閉じていた。
頭から落ちていった。
ドサ…ッ。
体に痛みはなかった。


「大丈夫ですか?」
そう言われた。
目を開けると男の人の顔があった。
心配そうに私を見ていた。
「え…な…何で…」
「急に飛び降りたので…」
そう言った。


私を抱きとめたのは悟飯だった。
帰りたくて飛び降りたのに…悟飯に助けられるって…。
どうしたらいいわけぇ!?

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