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東方想天界
Stage3 二律背反のブン屋

Side - Gouri Kanayago -

また神社に戻って聞くのも気が引けるし…。
竜宮の使いの件もあるから竜宮に顔を出そう。

霊力を纏って空を飛ぶ。

…私は霊力を纏う事が薄い膜に覆われているようであまり好きではない。




二律背反のブン屋




「あやややや、金屋子さんじゃないですか」

不意に声をかけられる。
何処からだろう。

「上ですよ、上」

剛李が顔を上げると剛李の飛んでいる所より少し上空で頭の上に羽団扇をかざしている天狗、射命丸 文(しゃめいまる あや)が空いている方の手を振っていた。

「ああ、八雲さんによる紹介以来ですね」

「ええ、アポ無しでいきなり彼女が山に来たときには胆を冷やしましたよ」

剛李が文と同じ高度に上がると文はどこからかペンと帳面を取り出していた。
羽団扇を霊力で宙に浮かせて帳面を濡らさない様にしていて剛李を待っていた。

器用だな。

「それで、今回はどうしてこんな所にいたのですか?」

「ああ、神社が倒壊したって聞いてね。それを見に来たんだ」

「えー、それだけですかー?」

「ああ、それだけだ」

幻想郷の天狗はゴシップが好きだと聞いた。
素直に答えていれば変なことは書かれないだろう。

「霊夢さんに惚れて毎日通ってる、とか無いんですかぁ?」

「無いな」

「残念です。博麗の巫女と天人の熱愛スクープかと」

文はガックリと肩を落としてペンと帳面を仕舞った。

「おいおい、勘弁してくれよ」

「はい、勘弁してあげます」

代わりに、と文の目が光る。

「すこし写真を撮らせてください」

お願いの口調の割にはすでにカメラを構えてたり、有無を言わせないつもりだろ。

「少しだけな」

「ええ、すこしです」








「ふぅ、ありがとうございました。良い物が撮れましたよ」

「…もう、お前さんの願いは聞かん」

少しって言ったのに、気がつくと100枚ほど撮られていただろうか。「もう一枚」や「後ちょっと…」を何度聞いたか。

…しかも、まだ誰か見ている?

「射命丸さん」

「文でいいですよ。どうしました?」

「最近、誰かの恨みを買ったりしてない?」

「んー」

文が口元に指を当てて少し考えると、面白いように顔色が変わっていく。

「ソ、ソンナコトナイデスヨー」

裏返ってる、裏返ってる。

「で、では、また今度。文々丸新聞をこれからもご贔屓に」

あ、逃げた。

文が行くと誰かの気配も消えた。あの子も難儀だなぁ。





Side - ??? -

この私が尾行に気かれるなんて、アイツやるじゃない。

文の死角を飛びながら私は念写した写真を取り出す。

天人かぁ、何で降りてきたんだろ?
同じような偏屈どもの集まりが嫌になったのかな。

そんなことを思いながら文を追う。
特ダネのすっぱ抜きはあんただけの専売特許じゃないんだからね。

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