はひ!?
僕が考え込んでいる間に無残にもヘブンズタイムは終わってしまった。
灰色が瞬時に色付いていく。
それはもちろん目の前の変態も動き出すという事で。
「あ、ばれちゃった? てへっ」
何がてへっだ。
全然ごまかせてないし、今の僕には可愛くなんて見えない。
むしろ殺意すら――
「ごめんっ。男の照美ちゃんだとどうしても恥ずかしくて……。大事な話があるんだ。次の駅で降りてもいいかな?」
この状態を問い詰めたかったのに、橘が初めて見せる真面目な表情に僕は頷いてしまっていた。
「――次は……駅。次は……駅です」
特有のアナウンス音で僕達は電車を降りた。
結構広いホームを出てしばらく歩くと、河川敷があり、ここが雷門中の近くなんだとすぐに分かった。
それにしてもさっきから橘がずっと無言なのが気掛かりだ。
そう思って見ていると、察したように橘の口が開いた。
「照美ちゃ……いや、照美、君」
心地好い風が頬を撫でる。
橘の表情は何故か悲しそうに見えた。
「なに?」
「照美君……私、私、照美君が好きなの……!」
僕は目を見開く。
まさかこんな展開になるとは思っていなかった。
だけど、僕は……
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