僕の心には君しかいないから*成歩堂 「やはり、真宵様はなるほど君の愛しい人なのですね!」 「春美ちゃん!」 「はみちゃん、だから違うってば!!」 僕の心には君しかいないから 久しぶりにこっちに遊びに来た春美ちゃん。 今日もいつものように大きな勘違いで僕たちを振り回してくれた。 何だかんだでいっつも誤解をとけないまま終わっちゃうんだけど…。いや、ていうか春美ちゃんの誤解はとけそうにない。 だけど今日だけはその話題を出してほしくなかったんだ。……だって、愛ちゃんがいるから。僕の、本当の恋人が。 さっきから何も言わない愛ちゃんをそっと伺えば、頬杖ついて何だか不機嫌そうな顔。 あちゃー、やっちゃった。と思ったときには遅くて、 楽しそうに戯れる真宵ちゃんと春美ちゃんはそのままに、僕は愛ちゃんに声をかけた。 「あの、愛ちゃん?」 「なに、」 「機嫌、悪い?」 「何で、」 愛ちゃんから発せられる抑揚のない声。 一秒の間もおかないその返答は素っ気ないけど、何だか拗ねてるような雰囲気を含んでいて、 「愛ちゃん、もしかして…………やきもち?」 「ちっ、違うよ!……てか何で笑ってるの!?」 「ごめんごめん、」 振り向いたのは真っ赤な顔した愛ちゃん。 ああ、やっぱり。やきもちか、可愛いなあ。 そう思うと、笑いを堪えることが出来なかった。 だって嬉しすぎるだろ?大好きな彼女が、こんなにやきもち妬いてくれるなんて。 「な、なるほどくんの馬鹿っ!もう笑うなっ」 「ごめん、ごめんって!」 「ごめんって言いながら笑ってるじゃん、もう!」 顔を真っ赤にして怒って、彼氏としては嬉しい限りだよね。 「安心してよ、愛ちゃん」 「え……?」 僕の心には君しかいないから (なっ……、)(あ、また顔真っ赤)(う、うるさい!なるほどくんのキザ!)(たまには僕にも格好つけさせてよ)(……かっこよすぎだよ!) とりあえずバカップル? 20090112 C [←][→] |