達成笑顔編
「マリアーっ!!」
「あ、ラビ。おかえり」
「ただいまさ、」
任務から帰ってコムイのとこに行く途中、肩の辺りでふわふわ揺れるブロンドとひらひらと靡く白衣が目に入る。
呼び掛ければマリアは振り向いて、帰宅を迎える言葉を述べ、ぎゅ、と軽く抱きついてきた。
うーん、これでキツい性格が治れば最高さね。いや、これはこれでいいんだけど。何て言うんだっけ、あれ……………ツンデレ?ちょっと違うか?、まあいいさ!
俺が一人幸せを噛み締めていると、マリアは名残も惜しまず離れていった。
「マリア、もうちょっと」
「は?……別に、もういいよ」
「何でさ!そんなこと言わずに、」
「ラビはどうだか知らないけど、あたしはもういいって言ってるでしょ?」
「………………はい、」
「…コムイのとこ行くの?」
「おー、コムイいるか?」
「んー…、ヘブのとこかも。研究室にはいないよ」
「サンキュー、」
「うん、もちろんそれなりにお礼はもらえるんでしょ?」
「何言ってるんさ!コムイの場所聞いただけだろ?」
「でも、教えてあげたじゃない。……じゃ、待ってるから」
言うだけ言って去ろうとするマリア。
お礼、お礼……………あ!良いこと思い付いたさ!
うーん、でもこんなことしたらマリアに怒られるよなー。……いや、でもそん時はそん時さ!
こんな葛藤が一秒で繰り広げられる。マリアのことになると、ほんとに俺の頭はスーパーコンピューター並みだな。
「マリア、」
「何、まだ何か……」
ちゅ、
とわざと軽いリップ音をつけて。俺が口付けたのはマリアの頬。
さすがに口にする勇気はないさー。
「…何すんのよ、」
「何って、お礼」
「、こんなのお礼って言わないから!」
「んなことないさー。……じゃ、コムイの場所教えてくれてありがとな」
ひらひらと後ろ手に手を振りヘブラスカのとこへ向かう。
彼女の罵声を背中に浴びながら。
「こんの……馬鹿兎ー!!!」
僕から悪戯、達成笑顔
(お、マリア、)(何)(……何かあったのか?)(あの馬鹿兎、絞めてやる)
たまには僕からも、いいでしょ?
20090316 C
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