-short story-
夜の時期、地下の時期02
寝ている男はその姿を見て嬉しくなる。(実際は喜ぶところではないのだが)
ボンゴレには沢田綱吉が、この着物の男を喜ばせる人材が多くいる。
自分が慕っているこの男は強い者にしか興味がなく、いかせんこの男の強さは桁違いだものだから、彼が興味を持つのは稀だ。
むしろ楽しそうにしているなんてもってのほか。
その彼がこうも楽しそうなのは、自分にとっても良いことなのだ。
そんな考えにふけっていると着物の男はまた尋ねてきた。
『じゃぁそのアジトで言われた通りの準備は終わらせてきたんだね??』
『…必要最低限は。
しかしバレてしまったためそれ以上のことはできません…でした
申し訳ありません…』
着物の男は寝ている男をチラリと見て笑った。
目は獲物を捕らえたかのような。
『かまわないよ
最低限だけで僕には充分だ
もう哲がいなくても事は進められる』
それを聞いて寝ている男は血が逆流するような感覚に陥る。
自分は、もう、必要ないと言われたのだろうか、遠回しに。
着物の男は寝ている男の心情を知ってか知らずか若干不機嫌に言った。
『だから早くその怪我を治しなよ
哲がいくてはこっちが不便だ』
『…は…ぁ?』
着物の男は扉に向かいながら言う。
『不愉快なんだよ
哲は僕が側にいることを許した唯一のモノだ
咬み殺していいのも僕だけ』
扉を開けながら、寝ている男に振り返り
『おまえを生かすも殺すも僕が決める』
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男が出て行った後、病室は静けさを取り戻した。
一般人に言われても嬉しくもなんともなかっただろう。(むしろ返り討ちにしそうだ)
だか群れという名の人間の集団を極端に嫌い、誰一人近づけさせなかったあの着物の男が唯一許した、自分は許された存在。
こんなに慕っているあの方に。
もうあの男は自分が傷を癒やし戻っていくまでここには二度と来ないだろう。
それでも良かった。
早く傷を治して着物の男の元へ戻ろうと、寝ている男はその日決心した。
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1日でも早くまたお役に立てるように。
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