酔っ払いは厄介(エース)
エースが船首の見張りから戻って来たら、宴はかなり盛り上がっていたようで、大半の者達は潰れていた。
「お〜い、エース。恋人が潰れてるぞ。イゾウ隊長を運んでやってくれ」
そんな中掛けられた声。
「イゾウまで潰れてんのか?珍しいな」
歩み寄れば、甲板ですやすや酔って寝入っているイゾウの姿が。
酔い潰れた姿なんて初めて見たかも知れない。
つんつん、物珍しさから頬をつついてみる。
「イゾウ、運ぶぞ?うわっ、酒くせェ」
それからイゾウの腕を肩に回させれば部屋へと連行した。
途中、起きているのか寝惚けているのか
「酔っちゃいねェよ」
何て独り言が呟かれる。
「へいへい。酔っ払いは皆そう言うんだよ。よっ、と」
イゾウの部屋に到着すればそのままベッドへと横たわらせた。
「ん、ん」
だがイゾウは何やらもぞもぞ動いていて、無駄に着物の前もはだけており正直放っておくには危うい色香がある。
「ほ、ほら。毛布被れって」
こう言った事には疎いエースですら一瞬ドキッとしたくらいの色香が。
慌てて毛布を掛けては、次いでに着物の合わせも直しておく。
まぁ、この船に隊長と隊長の恋人を襲う無粋な者は居ないだろうが念の為にだ。
「エース」
「ん?」
すると、イゾウに名前を呼ばれた。
眠っているのか起きているのか、目は瞑ったままである。
「イゾ」
「好きだぜ?」
「〜っ…!?」
何か用でもあるのかと確認しようとしたと同時、とんでもない台詞がその口から放たれた。
自分達は恋人同士なのだが、少なくともエースはあまりイゾウの口から好意を示す台詞を聞いた事がなかったのだ。
エースの方からは好き好きと何度も連呼しては犬みたいに彼にくっついていたのだが。
「イ、イゾウ!今っ」
しかし二度目に確認しようとした時にはイゾウは大きな寝息を立ててしまっており、言い逃げかよとエースはがっくり項垂れたのであった。
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