売春婦イゾウ(エース)
イゾウ〜!!
モビーの甲板の上、自分の名前を二番隊隊長のエースにやたらでかい声で呼ばれ、イゾウはちょっと嫌な予感がした。
「あっ!いたっ!」
そして自分を見付けたエースは嬉しそうに掛けてくる。
「イゾウ!やらせてくれ!!」
甲板には他の隊長を始め、十六番隊もいる。
そんな中で満面の笑顔に床の要求をされて、取り敢えずイゾウは一発エースを思いっきり殴った。
頭を、グーで。
ロギアでも油断していたのかエースには綺麗に入った。
「いってェ〜。何すんだよ!」
「そりゃこっちの台詞だ!」
頭を押さえて座り込むエースに、何ならもう一発お見舞いしてやろうかと拳を握ってやる。
するとエースはほら、と何かを差し出して来た。
それは一万ベリー数枚。
そう、彼はどこから聞いたのかイゾウの男娼としての顔を知っており、かつ買おうとしているのである。
別に隠している訳ではないが、仲間から買われるのは予想外であった。
ピタリ。
拳を振りかぶった格好のまま、イゾウの動きが止まる。
「なっ?」
仲間から金を貪るのは正直気分が良くない。
エースのキラキラの笑顔がなおのことイゾウの頭を悩ませる。
それは、ぼったくって諦めさせるかはたまた、お安くしてやるか。
結局イゾウは
「その半値で結構だ。来な、エース」
後者で折れて、踵を返しては初の仲間な客を自室に招いたのであった。
因みに二人が去った後の甲板では、おれも買いてェ、ばかエースだから許されたんだろ、と彼を羨ましがるヒソヒソ声が響いたのだとか何だとか。
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