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東方プロジェクト小説
始まる
肌寒かった夏も、
短く盛大だった春も、
狂った様にやった宴会も、
長く終わらない夜も、
そして咲き乱れた春もこの幻想郷から音も無く去ろうとしていた。

あれほど幻想郷一面に咲いていた桜の花も枯れ落ち、緑の葉が博麗神社の辺りを被い茂ていた。

―博麗神社、それはこの日本の何処かにある理想郷、
古くの賢者達が造り生まれた世界『幻想郷』その幻想郷はその地の果てに結界、
つまり境界線が引かれており、外からも内からもその向こうには行けない。

その境界線にあるのが博麗神社、
それは幻想郷の境内でも境外でもある別格の場所。

そこに住んでいる少女がいる、
『博麗 霊夢』ハクレイ レイム
この神社の巫女である。

普段は一人で参拝客も来ない神社でのんびり暮らしているが、唐突に客はやってくる、空から。

「おい霊夢、稽古(ケイコ)は続いているか?」

彼女はハロウィンに出てきそうな魔女の衣装をし、
白黒を基調としていて、頭には大きい三角帽子を被っている。

名前は―

「ん、あぁ魔理沙ね」

魔理沙『霧雨 魔理沙』キリサメ マリサ

霊夢に冷たい返事を貰った魔理沙はお構い無しに霊夢の座っている茶の間へ上がった。

ちゃぶ台を挟んで霊夢の向かい側に座り微笑した。

霊夢はため息を軽くした。

「稽古はやらされているわよ」

そして二人のいつもの会話が始まった。

数時間二人は話していると急に床が揺れ、あちらこちらの外側の壁から"ドン"という音が聞こえた。

魔理沙は驚いた様子だったが、霊夢はいつもの妖精の仕業でしょと言って平然としている。

外に出た魔理沙は神社の境内を見渡すと―

「なんだこりゃ?」

草や葉が辺り一面を被いつくしていて土があった地面はその土が見えないほどの雑草が伸びきっている。

まるで夏の緑の海の様に。

ついでに壁を見ると急激に成長した細い木の枝が壁にぶつかっていた。

何か思いたった魔理沙は玄関前で霊夢に言った。

「わりぃ、仕事が入ったぜ」

そう笑みを溢した魔理沙は大きめの箒に跨がり出発した。

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