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雲珠桜は夏に彩る
それぞれの覚悟01








「雲雀…………恭弥っ…………!」





男の歯ぎしりの音がギリッとこちらまで届く。顔色はその行為に反して青白い。ボンゴレ十代目守護者最強の肩書きは一隊員にはきっと重すぎるのだろう。そんな人物がいきなり自分の目の前に現れては心中は穏やかではないはず。
そんな展開望んではいなかったのだろうから。




…………まあこんな展開が予想外なのは私も同じだけどね。つか誰がこんな登場予想できんのさ。





雲雀はそんな私達に構わず、視線だけで人一人殺れそうな視線で男を射抜く。






「君達が気安く僕の名前を呼ばないでくれるかい?耳障りだ」


「なんだとっ…………!」


「本当は…………君がそのまま姿を消して永久に僕の前に姿を見せないのが一番いいんだけどね……お互いそうはいかないだろう?」


「…………っ!?」







男の醜い顔に血管がうっすらと浮きてでくる。歯ぎしりもさっきより強くなったようだ。






「ひ、雲雀さん…………?」


「?ああ、ユカ。もう大丈夫。心配しなくても僕が奴等を咬み殺してあげるから」


「…………;;」






すいません、もう身の危険は感じてません。どちらかと言うと今はあの人達の身を心配してます。




そう言えたら楽なのか…………?
ユカはあんなに恐怖を与えられた敵にも関わらず、同情の念を送ってしまう。それほど雲雀さんに殺気と怒気を投げ掛けていた。
それは…………助けてもらっている私でもすくんでしまう程に。

しかも何故か雲雀は、ユカが身を固くしたのは相手のせいと思ったらしく私を安心させるためか抱く力を強める。そして更に殺気と怒気を投げ掛ける。なんと言う悪循環だろう。
しかも私はこんな状況であの十年後雲雀に抱き締められ、まるでボンッ!と音を立てるが勢いで顔を朱に染め上げていた。
雲雀が相手に殺気と怒気を投げ掛ける事に集中していてこちらを見ていないのがせめてもの幸いか。
最終的には相手は雲雀に呑み込まれ、雲雀に対する怒りなどを捨ててしまい、顔を真っ青にして体を震わせるだけだった。




…………憐れなり。





「…………っお、お前らっ。固まってないで皆で叩くぞ!数に物を言わせればきっと…………っ!」






男の一人が真っ青になりながら同志の腕を引く。心境的に言えばきっと今すぐ逃げ出したいんだろうな…………。
あれ、相手に同情できるのはなんでだろう?






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