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雲珠桜は夏に彩る
本当の自分







夕陽がゆっくりと山に隠れて行くように、黄昏の近づく音が私達の耳に聞こえてくる様な頃。真六弔花から襲撃を受けると言う危機を乗り越え、元敵であるγ達を引き連れた私達は、最初にツナ達が未来に来た時に居た森へ向かうことになって居た。何とも不思議だ。聞いただけだと、まるで双六の振り出しに戻った気分だ。

私の横には京子ちゃんやハル。野猿や太猿、ユニとγ。それらの人物がいた。そして私の前の方でたまに振り返っては私の近くにいるγ達に尖った視線を投げつける者が、一人。…………そう、獄寺だ。
γを同行させることは最初、獄寺に猛反対されていた。が、パトカーのサイレンが異論をはさませない。結局ユニの申し出とツナの説得により、同行されることに首を縦に振った獄寺だったが、やはり敵対心やら猜疑心はぬけないようだった。
…………その近くにいてまるで自分にその視線を受けている様な錯覚に陥る立場としては、ここはとてつもなく居心地が悪かった。

逃げるようにやってきた森は、当初ツナ達が迷い込んだ時と何ら変わりはないらしい。丁度逃亡している身には良い崖があったらしく、そこを拠点にすることにした。
そこに腰を落ち着かせた時にはもう日は山に隠れ、代わりに月が少しだけ顔を出している。焚き木をくべれば皆の顔を火独特の明かりで照らし付けた。





「でもまさか…………この森に戻ってくるなんて」


「仕方ねえだろ?不動産屋は燃えてなくなっちまったんだからな」


「町の方は一連のミルフィオーレとの戦いで大騒ぎになっちゃって、とても帰れる状況じゃないしね」


「逃げるのもギリギリだったし。山本や雲雀さん達も早くここへ来れるといいんだけど…………あ」


「………」


「………」





ツナが何気なく呟く一言。その時、自分の傍で花火を散らす勢いで人を睨んでいる人に気づいた。




「ご、獄寺君…」




商店街から退避するときは致し方ないと不満を飲み込んでいた獄寺。先程まであんなに感情をむき出しにしていたが、空気を読んで突っかかる様な事はしなかった。だが、ここにきて怒りが爆発寸前まで来ていた様だ。





「…何か言いたそうだな」


「ちっ、まさか生きてやがったとはな」


「お前こそ無事だったとは恐れ入ったぜ。…だが、今は喧嘩している場合じゃねえ。さっさと話せ」


「?」


「ユカの事だ。こっちにゃ聞く権利ぐらい持っているはずだぜ」


「!?………こっちも聞きてぇもんだな、ユカとの関係を。まさかてめえら、ユカに何かしでかしてねえだろうな!」


「ハッ、若者らしく想像力豊かなこった」





まさに一触即発。そんな雰囲気を漂わせる二人。それもここまでの二人の経緯を振り返れば仕方のない事なのかもしれないが、周りはいつ、獄寺がγに飛びかかるかとずっと冷や冷やしていた。獄寺は背中をさっきの戦闘でやられ、思うように動けないと言うのにだ。




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あきゅろす。
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