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雲珠桜は夏に彩る
無慈悲な再会04








開けた視界の先にはしっかりと自分を助けてくれた人が私を見下ろしている。今現在自分を横抱きに支えてくれるその人物が何故か私よりも泣きそうで。でもユカが無事な事が嬉しいというような感情が顔に現れていて、何とも情けない眉の垂れ下がった顔になっていた。

またしても私を見降ろすのは外国人だ。この人は周りと比べて比較的まだ若い。…………そして私の事をやはり知っているようだ。
あれ、ここって日本だよね。何でこんなに外国人が多いの?





「…………?」


「?何か言えよユカ!」


「っ………ゆ、」


「ゆ?」


「ユニちゃんは!?」





そうだ、ユニちゃん。
自分が落下の恐怖から逃れたのも束の間。何よりお礼よりも先にその事が頭を過ぎった。私が落ちたならユニも落ちる羽目になったはず。
そう考えれば思ってもいられず、助けてくれた人をそっちのけで私は身体を揺らした。





「あ、暴れるなって!落ちる!…………ったく、オイラに礼を言う前に、てか自分の事より姫様の心配かよ!いや、そっちもかなり気になるけど!でもそんなのもイラつく程お前らしいな!…………姫様はちゃんと無事だ」


「!」


「おいおい、俺もいること忘れちゃいねえだろうな」


「太猿兄貴。忘れてねぇって」


「お怪我はありませんか?………姫」


「γ!っ………野猿に太猿も!」


「お守りするぜ、姫様!」





上を見上げそこにいたのは綺麗な、でも少し埃被った金髪の髪をオールバックにした髪型の男の人。その人も外国人らしく、ユニを横抱きにしていた。二人の横には私が落ちる前に視界の端に見えたビリビリと空気中に電気を放っている黒い狐が寄り添うようにいる。

きっとあの子たちがトリカブトとかいう敵から助けてくれたんだと言うのがそこから予想できた。ユニもいたって平気そうだ。それどころか嬉しそうに頬を緩ませている。

ユニは緩ませた頬を戻そうとはせず、むしろ紅潮させてγと言う人物を見上げた。





「おい、野猿!ミスってユカ落としちゃいねえだろうな!」


「ひでえ、γ兄貴!そんなことしねぇよ」


「ブラックスペルだと!?奴らはメローネ基地の転送時に死んだのではなかったのか!」


「何やってんの、トリカブト!二人を取り返すのよ!!」


「やっぱそうなるよな」





野猿は「一回降ろすぜ」と言って、皆のいる川平不動産屋の前に私に衝撃がかからない様に降り立った。この時点で、既に桔梗たちからの攻撃は止んでいる。野猿とやらの人達の登場のお陰で、ギリギリの所で防御はもったらしい。





「「「ユカちゃん!!!」」」


「「ユカ!!」」


「おい、おめえら!ちゃんとユカ守っとけよ!!」


「!?」


「わ…………」





私の足が地面に着くと皆が次々と目の前に駆け寄ってきてくれた。京子ちゃんとハルは自分の状態を顧みず駆け足で駆け寄ってくれると、涙目でぎゅと抱きしめてくれた。二人を心配かけまいと腕を広げて受け入れようとしたが、どうやら私は腰が今の出来事で抜けたらしい。降ろされるとすぐに地面にへばりついた。それと同時に、恐怖と生理的に出てしまった一滴の水が目の端から流れ落ちる。

…………情けない格好を、皆に見せてしまう。



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あきゅろす。
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