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雲珠桜は夏に彩る
自分と言う名の探し物06







「…………ユカちゃん達、何話してんだろ?」


「気になるっすね、メンバーがメンバーなだけに」


「何かさ。連れていかれる前に、リボーンの正体がなんちゃらって言ってなかった?」


「?そう聞こえました?」





ユカが何かを口走ってリボーンに隅に連れ去られてから、何やら内緒話を自分達に隠してしているユカ達。自分達がおいてけぼりにされたように感じ、チラッと横目で様子を窺ってみれば、そこにはユニの姿も見えたので、なんか変な組み合わせだとツナは頭をガシガシと掻き回した。





「な―山本、なんか知らない?」


「小僧の正体?そう言ってたんなら、その事じゃねえか?結構………複雑らしいからよ」


「え」


「あ、これ言っちゃダメなんだっけ」





山本は少し困ったように頭を掻いた。山本の知っているような言動に、ツナがその意味を問い質そうと口を開いたら、その瞬間、壁という壁に音の振動が伝わってきた。





『…………んなの後回しにしろぉ!!!』


「お、スクアーロも相変わらず声でけぇのな!」


「本当…………ってそうじゃなくて!」


「お?」


「リボーン、本当の本当に、山本に正体の事言ってたの?俺達には?」





あんなに近くにいる自分には何もいわないで、山本にだけ教えるとは、どういう了見なのだろうか、あの家庭教師。
別に山本に言うことは構わない。批判をしている訳じゃないが…………自分に教えてくれないのは何か気分の良いものではない。なんだかツナの胸の辺りが、モヤモヤしているような気がした。





「そうだ!野球バカの分際で十代目に隠し事なんざ、いい度胸じゃねえか!!」


「そう言われてもな―」




すまん、というように山本は、片手を軽くあげた。




「小僧にツナ達には言うなって言われてんだ、悪いけど」


「そこをなんとか言え!」


「っても、銃突き付けられて口止めされたからな―」


「それは…………何て言うか、ごめん」





何やってんだ、リボーン。ツナは山本の言葉からの想像で頭を抱えた。自分の、恐らくあまり誤差の無い想像力が恨めしい。そうやって話を自分の流れに持っていこうとする所は、一向に変わってはいないようだ。
と言うか、その行為をするのは教え子である自分だけではないらしい。相変わらずビックリするほど先が読めないリボーンの思考に、再び何度目になるか分からない溜め息をそっとついた。
元々隠し事をするのに向いていない性格である山本も、さっきから話せ話せと自身に詰め寄る獄寺に相当手を焼いているようだ。

リボーンに脅されたからには仕方のないと、山本から獄寺を引き離してあげようと口を開いた、…………その時だった。

ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ!

基地中にサイレンの音が響いた。…………何だろう、この嫌な感じ。ツナの背筋になにか冷たいものが走った。





「!?」


「なっ、なに!?」





ユカも、気づけば顔を上げている。その顔はいつものような表情ではなく、まるで白蘭と向き合っていたときの様なものだった。もしかしたら次々と事態を頭の中で展開していたのかもしれない。

次の瞬間。サイレンの合間から聞こえてくるのは爆発音。次々と部屋が壊される…………瓦礫が崩れていく音。
何がなんだかわからない状況に、皆の背筋に、更に冷たいものが流れる。







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