雲珠桜は夏に彩る 束の間のハプニング15 「でも、私からユカさんに言えることがあるとすれば…………」 ユニはゆっくりと目を閉じる。そしてゆっくりと目を開いた。 「ユカさんは白蘭に捕まってはいけないと言うことです」 「白蘭に…………って、あの白い人?」 「ええ。それだけは覚えておいてください」 「でも、狙われてるのってユニちゃんじゃないの?」 「まあ…………私も、ですね」 同じです、とユニは笑みを崩した。その笑顔はちょっと無理のある笑顔だった。 …………きっとこの子も何かあるんだ。 その笑顔の裏に、感じることが出来る物がある。それはもしかして、こんな子がマフィアのボスになってしまったわけと関係があるのかもしれない。 何だかユカには、どうしてもユニとの共通点が多いような気がしてならなかった。 「ユカさん」 「何?」 「どうか…………自分を見失わないでください。きっと暗闇の中に落ちそうになったとき、周りの自分の大切な人が手を伸ばしてくれます」 「…………え?」 「私も、そうだったから」 ユニはそう言って前の方に顔を向けた。ユカは意味を考えようとして、ユニの横顔を見つめていた。 私もそうだったからとは、一体どう言うことなのだろうか。ユニも記憶を無くしたのだろうか?真意を探るべくあれこれ考えてみるがいいものは思い付かない。唯一の手懸かりでありそうなユニの横顔とその目は、ユカにはユニの言う『周りの自分の大切な人』を見ている気がした。 ユニのその言葉はきっと、私を励ますためにいってくれたのだろう。記憶のない私が底に落ちてしまわぬように。 でも、今はその言葉が悲しく自分の胸に突き刺さった。 「…………(自分を見失わないで、か)」 この言葉を胸の中で繰り返すだけで胸がズキリと痛む。 …………きっと、この言葉は今の私に言うようなことじゃない。こう言うことは自分を『持っている』人に言うべきなのだ。 記憶を持っていないユカは今、自分があると言えるのだろうか?記憶を全て、両親も、友達も、故郷も、思い出も、あまつさえ自分の事ですら覚えていないと言うのに。 そしてユカは、恐ろしい考えに陥った。 私が笠原ユカだと言う保証は、どこにあるのだろう? 皆は私を知っていると言う。笠原ユカだという。でもそれは確実なものではない。私を騙そうと思えばいくらでも出きるだろうし、この笠原ユカの記憶に塗り替えられることもできるかもしれない。 そう…………今の私はこんなことを疑えるほど、空っぽな人間だ。 『自分』なんか持っていない人間だ。 ×あとがき× 終わりかた暗…………(- -;) 戦闘中だし、逃走中だし、記憶喪失だし…………と、少し暗いのが続いてます。 次回はまだ明るいはず!! ×レビュー返し× 空様!(*^^*) レビューありがとうございます! 遅くなってすいません(- -;) 無事、逃げることができたら次は自分探し的なことになっちゃいました。 そしてまた、原作的にエスケープ(笑) これからもっと更新滞ると思いますが、ふと思い出した時にでも読んでやってください(__) じゃむ様!(*^^*) レビューありがとうございます! 遅くなってすいません(- -;) 記憶か雲雀さんのデレ…………ですか。 私は断然デレを選b←←← イルカ様!(*^^*) レビューありがとうございます! 遅くなってすいません(- -;) そう言ってもらえるととても嬉しいです!…………が、最近思うように更新できず…………。 出来るだけ更新はしないように頑張るつもりなので、ゆっくりと見守ってくれればと思います(- -;) [*前へ] |