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雲珠桜は夏に彩る
衝撃事実、教えます13







…………ユカは残念なことに、自分にそんな価値を見出だすことが出来なかった。こんな状況で自分の状況ですら把握できないような奴は、ただのお荷物にしかなり得ない。




「…………重い、よ」




自分に価値があるだなんて、微塵にも思っていない。なのに雲雀くんを自分のために戦わせていることが何より…………

重い。

そんなもの、私には背負うことはできない。…………ああ。きっと今の自分は醜いのだろう。こんなにも自分勝手な事を言って皆を困らせているのだから。





「それに…………ここにいる自分もいやだ」


「…………」


「ただ守られるだけになってる自分がいやだ。必死に戦ってる皆を見ることができない自分もいやだ!」





きっと戦いを見る事は、今の私には耐えられないから。そう言って私はここに閉じ込められた。

私は弱者だと決めつけられた。





「足手まといにしかなってない自分がいやだ。じっと待つだけだっていやだ。なにも知らない自分だって…………この状況を知らないことがいやだ!」


「…………フッ、何だ。覚えてるじゃねえか」


「?」


「雲雀に惚れてる気持ちだ。分かってんだろ?」


「は…………?」





重さに悲鳴をあげる私。そんな私にリボーンは、にっこりと何かイタズラを思い付いたような笑みを浮かべた。





「お前は自分のために雲雀に傷ついてほしくないんだ。それは記憶が無くなっても互いを思いやる気持ちを忘れてねえってことだ」


「な、何言って…………」


「つまり。お前は、雲雀が好きだから傷ついてほしくねえんだ。惚れてるから自分のために体を張って欲しくねえんだ」


「!?」


「だからお前は無力な自分を嫌う。ただ守られてるだけじゃ、雲雀が傷つくだけだから」


「…………っ」


「安心しろ。雲雀やあいつらはあんくらいでへこたれたりしねえ。なんたって俺が鍛えたんだからな」





そう言ってリボーンは、私の肩に乗って、小さな小さな手で私の頭を撫でた。そこから伝わってくる温もり。私はその温もりに、無性に涙が溢れだしてきた。





「…………ほんとに?」


「ああ。嘘なんてつかねえ」


「皆、大丈夫?私…………」





好きだって気持ちでもいい。忘れてない?私にだって、何か残ってる?
蚊の泣くような小さな声で、私はリボーンに訊ねた。肩に乗っていたお陰で小さな声でも聞こえていたらしい。




「ああ」




その言葉は今、ユカが最も欲している二文字だった。

…………今の自分にも、まだ残っているものがあった。

私は声の許す限り、まるで赤ん坊のように泣いた。





「…………ユカちゃん」


「ユカさん…………」


「………皆が傷付くのも、嫌なんだ…………」





二人はその言葉に耐えられなくなって、泣いているユカをそっと自分の腕に包み込む。




「………私達もだよ、ユカちゃん」




私達だって、何もできなくて歯がゆいんだ。

京子ちゃんが小さく、聞こえるかどうかと言うくらいの大きさでそう呟いた。ハルもその言葉にゆっくりと頷く。二人の涙腺も…………今にもはち切れそうだった。




「…………」




ユニ含む大人達は、なんとも言えない気持ちで、ただ泣いているこの三人を見つめていた。この子達を巻き込んだことには、自分達に責任もある。ある意味入江に関しては、この三人に目を合わせることも出来なかった。



しばらくの間。

ユカの泣き声は、基地の中で悲しく反響していった。


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あきゅろす。
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