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雲珠桜は夏に彩る
白い悪魔の誘引05







「あれ、分かんないって顔をしてるね」


「白蘭サン!!ユカさんはあなたの道具なんかじゃないんだ、これ以上巻き込まないで…………」


「煩いよ、正チャン」


「っ」





白蘭の視線が正一を射る。




「そうだな…………じゃあ試しに雲雀クンのボンゴレリングでも触ってみなよ、ユカチャン。なんなら綱吉クンのボンゴレリングでもいいよ」


「ボンゴレリング…………?」





もしかして、雲雀くんの右手に輝く指輪のことだろうか?





「きっと僕の言った意味が分かると思うよ」


「…………」


「!ユカ…………!」





私は言われるがまま、雲雀くんの右手に嵌められている指輪に手を伸ばす。何故か雲雀くんはそれを阻止しようと、右手を私から遠ざけた。




「雲雀くん、触らせて…………」


「駄目。させないよ」


「?なんで…………」


「!!そう言えば…………恭弥!ユカに触らせんなよ!」


「言われなくても分かってる」


「?」





ディーノさんまで。
触ろうとしてもなかなか届かない。ディーノは何か知っている素振りを見せるが、私はそれよりも雲雀くんの手に手を伸ばすことに必死になっていて、気付かなかった。
雲雀くんは僅かな身長差を使い、私の届かない位置に手を持っていく。これではキリがない。だけど私は白蘭の言うことが気になって、とにかく触れるように粘った。





「あとちょっと…………」


「…………っ!」


「ちょっと待て、ユカ!前にお前が触ったときは「痛っ!?」………ちっ」





閃光みたいなものがユカと雲雀くんの指の間に走った。ユカは急いで指を引っ込める。…………その指からは赤い液体が流れていた。





「ユカ、触ったのか!」


「え…………あ、はい、」


「見せてみろ!」





予測できなかった出来事に、ユカは指から血を滴らせながら身を固めてしまっていた。ディーノはそんなユカの手を、半ば引き込むように取って流れ出る血の部分を見る。指の傷は、パックリと割れるようにあった。

ユカと雲雀のボンゴレリング。
触ろうとしたときに出る閃光。そして怪我。
全てが過去の出来事と一致していた。デジャヴを感じた。あの…………ディーノとロマーリオが雲雀くんの家に泊まったときのように。全てのことが前回と一致していた。





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あきゅろす。
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