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雲珠桜は夏に彩る
恐怖と温もりと03







「今なんて…………」


「まだ言わせてえのか?」


「いえ、やっぱいいです」





今私が聞いたことが間違っていないのならばそんなこと、何度も言わせるわけにはいかない。と言うか、恥ずかしすぎる。
嘘でしょ。この人が私の彼氏?





「?どうした」


「…………いや、あの」


「何、僕じゃ不満?」


「いや、そうじゃなくて!」





むしろその逆って言うか。
一般的に顔が整っている方に分類されるはずの雲雀くんが、自分の彼氏と言う方が信じられない。と言うか彼氏もいたことも信じられないというのに、私はいつ、自分は雲雀くんみたいな人をひっかけたのか。





「君は、僕が守る。勝手に傍を離れるなんて許さないよ」


「!」


「僕だって知ってる。勝手に離れるなんてしたら、咬み殺す」


「…………」





でも本当にこの人が彼氏なら。ユカの頭の中でさっきの言葉が流れた。
もしその事が本当なら、さっきのこの言葉も理解できる。最初に…………抱き締められたのも理解できる。





「行くな」





そして、きっと大事にされてたんだろうと言うことも。
そんなことをチラリと思ったユカは、一気に頬を上気させた。頭からバフンって音が聞こえた気がする。
…………オーマイ、ガー。





「理解するのにやけに時間かかったな」


「…………いや、なんか信じられなくて」


「ふーん」


「え、ちょ…………」


「ここ、五月蝿い」





急に雲雀くんが私の手を掴んだ。するとこの人の集まりを避けるかのように雲雀くんは外へと引っ張りだした。私はこの意味が分からなくて、しかも普通に手を握っているのがなんだかこしょばくて。ついていくことしかできない。
後ろからディーノの焦った声が響いた。





「ちょ、恭弥!二人だけになるのは………」


「…………バーロー。見つけたぜ、ユカさんよ」


「!?」





ババーンッ!!
突如上から爆風が降り注いできた。その風は思った以上に熱い。意識を飛ばしそうにすると、また温もりを体全体に感じた。

雲雀くんだ。

瞬時にそう思えた。

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