雲珠桜は夏に彩る 女達の本音と苦悩04 「ユカ…………すまねえな」 「ん?何が?」 京子ちゃんとハルが地上の事で盛り上がっている時。横でリボーンは、静かに私に話しかけてきた。ビアンキさんは、ツナ達の所へ泣く泣くリボーンを手放して行っている。 「地上散策の事だ。お前、行きたそうにしていただろ?」 「ああ…………。そう言えばなんで駄目だったの?今更何だけど」 「そりゃあれだ、今敵の姿が見当たらないからと言って、来ないという可能性はないからな。安全には安全を重ねて、大事を取っておいた方がいい」 「なるほど」 リボーンはそこまで考えてくれていたのか。 未だあまり狙われている…………という感覚が湧かない私は、まるで他人事のようにその話を耳に入れた。 「…………っていうか、本当に白蘭は私を狙ってんのかなあ」 「思いっきり狙われるような事言われてたじゃねえか。もう忘れたのか?」 「いや、そうなんだけどね」 未だに現実味のない事ばっかで頭がついていかなくて。 狙われることはもちろん…………今まで、こんな非現実的な事が自分に降りかかってくるまで、想像は出来なかった。 それを言ったら、ヴァリア―や骸に攫われたり、未来に来る前に命を狙われたりしたのはなんだ、と言う事なんだが…………。 「…………ま。とにかく目を付けられた事は確かなんだ。実感が湧こうが湧くまいが、それは変わんねえ」 「うん…………ありがとう、リボーン」 「?」 「そこまで心配してくれて」 大丈夫だよ、私。…………多分。 そう言って、私は笑った。 「こっちに来て、結構神経とか図太くなった気がするんだよねぇ。多少の事には動じないって言うか」 慣れてきちゃったのかなあ…………このあり得ない状況に。 そう言うと何故かリボーンは、苦虫を噛み潰したような表情になった。 「…………言えよ、辛い時は」 「へ?」 「そういう所ばっか見せねえ気がすんだ。お前は」 「…………そう?」 「ああ」 「…………へへ」 その言葉に頬が緩む。 やはり、どんな状況であろうと心配してもらえる人がいるというのはいい。それだけでどんな状況でも、乗り越えていけそうな気がする。 私は知っているんだ。この事がどんなに幸せで運のいい事か。 「?ユカさーん、リボーンちゃ―ん!二人してなに話してるんですか?」 「んー?秘密」 話の盛り上がっていた二人が、こちらを向く。地上で何をするかはある程度話が纏ったようで、今度はこちらの方に興味を持って話しかけてきた。 「ねえ…………やっぱりユカちゃんは行かないの?」 「うん。二人で楽しんできてね」 「うう…………ユカさんとも行きたかったです!」 くうっ!と唇を噛み締めるハル。京子ちゃんも残念そうな顔をしてくれて。 私は上に行けなくても、地上でわいわい騒ぐ事が出来なくても。こういってはなんだけど…………皆が残念そうにしてくれているだけで胸がいっぱいになって、行かなくても満足な気分になってしまった。 その事を二人に伝えると、二人とも私に飛び付いてきた。 [*前へ][次へ#] |