雲珠桜は夏に彩る 今まで隠してきたこと04 「…………まだ、京子ちゃん達に言ってないんだね」 誰に、向けていった言葉ではない。けれど、ほとんどの人がゆっくり頷いた。 「…………京子には、話せん。こんな恐ろしいことに、あいつらを巻き込むわけにはいかんからな。笠原、勿論お前もだ」 「私はもう知ってます…………。それに、笹川先輩が思ってるほど、弱くはないです。京子ちゃんもハルも」 「!?ユカは今回のこと、知ってるのか!?」 「だから今から話を聞くっつってんだ、静かにしてろ、了平」 「ぬ…………」 リボーンの一言で了平は口を閉ざす。 リボーンも表面上は落ち着いているように感じるが、言葉の端には所々焦りが見え隠れしている。早く話を聞きたいのだろう。 リボーンは私に話すよう、促した。 …………止まっていた震えが、戻ってくる。 「…………あのね。私、皆に話してない事があって…………」 「…………」 「信じてもらえないかもしれない……信じてもらえって言うほうが、無理かもしれないけど………今から言う事は、全部本当だから」 ……どうしよう。言葉がつっかえてしまう。 私は皆の顔を見渡す。きっと、私の今の顔はあまりにも情けない顔なのだろう。皆が私の顔を、不安そうに覗き込んでいた。 その中で…………一番心配そうにしてくれていたツナが、一歩前に名乗り出た。 「ねえ、ユカちゃん。それって、言わなくちゃいけない事…………なの?」 「え…………?」 「そんなに震えてまで言わなくても………俺は、全然気にしないし」 そう言われて、私は自分の掌をみた。手は思った以上に震えていて、今の自分の精神状態を表しているようで笑えた。 私はツナに向かって、ゆっくり首を横に振る。 「ユカちゃん…………」 「今まで、ずっと誤魔化してたから…………もう、隠しちゃいけないって昨日決めたの」 それに…………多分、この震えは隠していたという罪悪感からも来ているんだと思う。 ダメなんだ、隠すのは。 もう、終わりにするんだ。 [*前へ][次へ#] |