雲珠桜は夏に彩る 悩める者達03 今はこうして、元気で傷一つないから無事だったんだろうとは思うけど…………なんか胸の奥がモヤモヤした。 すると、リボーンはビアンキの膝の上から下り、こちらにやってきた。器用に飛び上がって私の膝に乗ったかと思うと、普通に座って優雅にエスプレッソを飲み下す。 「信じられるか?弥風のやつ、十年後の雲雀が駆け付けるまで洗濯竿一本で応戦してたんだぞ」 「え……」 「いや〜、あれはマジで死ぬかと思ったね!」 「俺だってその話を聞いて耳を疑ったぞ」 …………いや、弥風さんならやりかねない。つーかヘタしたら敵一人くらいマジでやっちゃうよ、この人。 昔から雲雀さんの相手をしてきた人だ。女の人だから、一般人だからといっても、そこいらの人より戦闘力は圧倒的に違うと言い切れる。技術的な面でもそうだし、経験、身のこなしでもかなりやってのけてしまうはずだ。 「いきなり襲ってきたからあんま手加減出来なかったんだよね」 「その上余裕発言」 「だって恭より弱かったもん」 「………」 そうだ、この人はこういう人だ。 「…そう言えば俺達が、初めて会った時は弥風さん、十年後の雲雀さんと居たんだけど…………雲雀さん、物凄く疲れたような顔をしてたような…………」 「…………あんな雲雀が見れるとは思わなかったな」 「あんときは吃驚したのな!」 「…………弥風さん」 どうしよう…………その時の雲雀さんの心情、今手玉に取るように分かっちゃうよ。 「あはは〜、気にしない気にしない!」 「「「「気にする」」」」 …………もしかしたらこの中で一番、子供で(いろんな意味で)最強なのは…………弥風さんなのかもしれない。 私は今、そう本気で思った。 [*前へ][次へ#] |