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雲珠桜は春に出逢う
ナッポーヘアにご注意を07





よく見れば、雲雀に捕まれている手のところに
もう1つ、細くて長い、きれいな手が乗っかっている。
こっちはそんなに痛くない。

「柳原さん……?」

「誰?君……」

雲雀が更に力を込める。



「っつ……!」

「ほら、女の子に乱暴はいけないだろ?いたがってるのにも気付けないのか?」


柳原の口調はあくまでもたしなめるようだった。

……この人、雲雀の事知らないの?こんなことするなんて……。


雲雀もその言葉で力を込めすぎたことに気づいたらしく、ゆっくりと力を緩めてくれた。


「君……誰」

雲雀は確かめるように問いかける。

「僕はユカに用があるんだけど。君が邪魔するんなら……咬み殺す」


「おお、怖い怖い……咬まれるのは嫌だなあ…(笑)」


おどけながら言う。



「ちょっ、柳原さん……!?」


そんな言い方なんてしたら……




「君……咬み殺すっ」


「雲雀さんっ」





原因は私だ。柳原さんを巻き込むわけには……


しかし、私の制止も虚しくどこからか出てきた雲雀のトンファーは柳原さんの顔面に直撃して……。






「…Σ」

「あ……れ?」

「おやおや……君も短気で乱暴ですね……」






結果的にいうと、柳原は無事だった……。

いや。無事なはずだ。



だが、柳原の顔は目の前で一部が砂のように崩れていっている。

本人はいたがっている様子はない。寧ろ、妖笑を浮かべているではないか。



「どうなってんの……?」


「クフフ……」


途端、雲雀は柳原から後ろに飛んで離れた。
身の危険を感じ取ったのだろう。
それはあたしでも分かった。


私も急いで離れようとするが、柳原の手はいつのまにやら私の腰を掴んでおり、身動きがとれない状態だった。


「……っ、うおっ!」

もう、今日はやけに腰を触られる……。

「……ユカっ」

「だめですよ、王子さまはキチンとお姫様を助けなければ」


パチンッ


柳原はギザっぽく指で鳴らす。

すると突然景色が変わりだす。


「あなた、柳原さんじゃない。……骸?」



回る景色のなか、私は必死に声を絞り出す。



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あきゅろす。
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