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雲珠桜は春に出逢う
並盛商店街06








「こんなときにかぎって誰もいないんだから…………」





思わず非の無い三人に八つ当たりしてみる。…………が、だからと言ってこの視線が無くなるわけでもないし、例え三人がいたとしても、助けをともめることができるかと聞かれれば頷けもしない。そんなことになるなら自分が返り討ちにした方がいいと考え始めてしまう辺りいけない。
この状況に嫌気が差してきた私は、ハア……とため息をついた。


ストーカーかな。
そう考えてみるが標的にされる覚えはない。
見た目はいたって普通。他人からみても人のめを引くほどの美人でもない。胸もお世辞でも大きいとは言いづらい…………。
あえて容姿で長所を言うのであれば、背が少し高いくらいだ。探そうと思えば結構いそうな高さだ。(いや…………実際はそうでもないけど)





「…………」






ああ…………嫌だ。こんなこと慣れてないからよくわかんないけど、取り敢えず何処かの店に入ればなんとかなるだろうか?流石にストーカーも、そこまでは追ってこれまい。

思い立ったが吉日。私は即行動に移すべく目ぼしい店を見つけ、その店内へ足を運んだ。
ユカに刺さる、刺のような視線は店に入るまで背くことはなかった……。


















「クフフフ……」





電柱の影には、ユカが店の中に入っていくのを見ている人物がいた。その人物は、人物を特定するには分かりやすい特徴だった。
目は片目ずつ色が違い、右目は赤で文字が描かれている。確かこういう目をオッドアイといったはずだ。頭も何処かの南国果実を思わせる髪型で、一般人としては嫌に目立つ彼は誰が見ても不審者に思えるが…………誰も通報しようとはしない。

それどころか見向きもされなかった。

まるで空気のように……。
あって当たり前な存在のように……。
そんな空気を彼は醸し出していた。





「クフフ……あの沢田綱吉達が一人の女性を連れ遊んでいるのを見つけ興味深いとあとをつけてみましたが…………」





容姿が整っている彼は、首をかしげていても所謂美人さんだ。





「一体あの子は…………何者なんでしょう」




不思議な笑い方をする彼。そんな彼は、ユカをみて不思議そうに首を傾げた。

今、自分の姿は幻覚によって気配を消している。その証拠に此方を振り向くものはいない。…………いや、いないはずだった。

自分の気配を感じている者は二人もいた。沢田綱吉と一緒にいる少女。ユカと言ったか。
沢田綱吉はブラット・オブ・ボンゴレ(超直感)によって既に見破られたことがあるから気づいてもしょうがないだろう。しかし、ユカはどうか?明らかにどう見ても一般人だ。マフィアなんて裏社会知らなそうな平凡な子だ。
見た目によらない戦闘力も、持ち合わせているようには見えないし、あの筋肉の付き方は、明らかに強者のものとは違う。




「なのに……」




どうして僕の気配を感じることができるか。


最初は勘違いとも思った。あの極々平凡な彼女が自分の事を気づくはずがないと。だが、その思い込みがどうやら違うらしいと言うことは、見ていれば分かった。
彼女は自分の気配を感じるどころか、ストーカーとまで勘違いしているらしい。




「クフフ…………面白い子です。非常に興味をそそられる」




…………やはり非常に変な笑い方だ。

しかし、現時点でそれを突っ込めるものはその場にはいない。

残念だ。

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あきゅろす。
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