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雲珠桜は春に出逢う
素直な気持ち03






「ツナ?!」



「あ……雲雀さんじゃなくてよかった;;」



ドアを開けた先にはもう見慣れてしまった重力無視の髪の毛が。何やら冷や汗をかいて安心したような表情を浮かべている。
何故私がここにいると分かったのだろうか?

そんな疑問を抱きつつも私はまず、現状報告をすることにした。




「あ……ねえツナ。私……」



ここにまたお世話になることになった。
そう言いたかったのだが、それはツナ自身の言葉によって打ち消された。




「分かってるよ。だからこれ、持ってきたんだ」

「?」


そう差し出されるツナの手。その手には先日ゲットしたであろう大空のボンゴレリングが光っていた。
そしてリングが光っているその手には私のリュックがあった。
その中にはきちんと全部の荷物が入っているんだろう。



「え、なんで!?」


「それが……うちに骸がきたんだ。それでもうユカちゃんはうちを出ていくだろうから用意してあげろって」




あ……勿論中身は全部母さんがやったよ!?と慌てて手を横に振る。






……骸が……?





それはいったいどういう事なのか。
なぜ骸がこんなことを?





「……ありがと、ツナ。短い間だったけどお世話になりました」



私はツナにお礼をいった。
骸がどんな理由でやったかはしらないが、ツナはここまで荷物を運んでくれたのだ。





「ごめんね、なんか。今度きちんとお礼しにいくから」



「え!?……ううん、いいんだよそんなこと」






それより良かったね、仲直り出来たみたいで。そういってきれいに微笑むツナ。


私もその笑顔に対し、笑顔で返した。






(雲雀さーん、私の荷物をツナが…ってなにこれ?!)


(……五月蝿い)


(なんでこんなに書類溜め込んでるんですか?)


(僕にも色々あるんだ(……ハンバーグ食べたい……))












……この時点ではまだ、ユカは知らなかった。

ここまでくるのになんの障害もなくスムーズに元の仲に戻ったように見えるが……雲雀にとって、ここまでくるのにユカの知らない壁があったことを。




そしてその壁を乗り越えるきっかけとなったのが、雲雀にとって忌まわしい人物であったことを……。







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