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雲珠桜は春に出逢う
戻ってきた中学生活04








うーん、どうしよう?この状況…………








「ねえ!ユカさんってどこから来たの?」


「武くんとさっき、話してたよね?知り合い?」


「まさか付き合ってたりすんの!?」


「いやあ!私の武くんは渡さないわ!」







…皆さま凄すぎ。

屋上に連れてこられて最初にされたこと。それは食事ではなく、リンチでもなく…………質問攻めだった。

取り敢えず、変な誤解や噂を立てられてはたまらないと、手を前に突き出して首を横に振る。







「そんなことないよ!だって知り合ったのさっきだよ?(漫画で知ってたこと知ってたけど)」


「ええ〜?でも、さっき…………」




女子の皆様はその答えだけでは物足りないらしい。…………と言うか、皆さまのお顔がだんだん近づいて来ている。
顔が真剣身を帯びすぎていて恐ろしい…………。







「ちょっと。皆やめてあげて?笠原さん怖がってるよ?」


「あんたら、早く食堂にいかなくていいの?もうすぐアレ、始まるよ」





詰め寄る群衆の後ろから、二つの聞き慣れたような声。私はその声の持ち主を知っていた。







「えっ!嘘もうそんな時間!?」


「今回こそは私がもらうんだから!」







そう言うが早く、私を囲んでいた女子達は一気に私から離れる。苦しいような感じから一気に解放された。
激しい足音をならすの同時に、私と京子ちゃんと花ちゃんを残してクラスの女子は屋上のドアから階段をかけ降りる。
その姿はまるで野生の動物を見ているようだ。




…アレってなんだろう?物凄い効果だけど。







「ねえ…きょ…笹川さん。アレって何?」


「あはは、京子でいいよ」


「私も花でいいわ」


「うん!じゃあ私もユカで」


「分かったわ/よ」



二人は返事と共に微笑む。その笑顔は紙面上とそんなに変わらなくて…………私の心を癒してくれる。







「で、アレって?」






先程、花が口にした言葉。あの女子を一気に剥がす効果があるのだから大したものなのだと思っていたが、聞いて見るとそんなに大した物ではなかった。








「ん?メロンパン」


「は?」


「何かね、そのメロンパン一ヶ月に一度だけ限定でうってあんのよ」


「そのメロンパンスッゴク美味しくてね。人気があるんだあ」








京子ちゃんがニコッと笑う。
逆にその事を聞いた私は、それはそれは……と呆れて、フフっと笑ってしまった。


メロンパンごときでそんなに必死になるなんて。


すると京子ちゃんが私の顔を覗いてきた。







「?」


「ユカちゃんて笑うとスッゴク可愛いね?」


「え…………そんなことないよ!私笑顔は自信ないし」






私は両頬に手を当てると、むにっとつねる。






「そんなことないよ!」


「そうそう(無自覚…………ね)」







そしてそのまま私達はご飯も食べずに女子トークで盛り上がった。












(ホッ……良かった、何もなかったみたいだ)


京子たちと笑いながら戻ってきたユカ。ツナはそれを見て、ホッとした。







「ん?なんで俺、こんなにユカちゃんのこと気にしてんだ?」







一人首をかしげるツナであった。

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あきゅろす。
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