[携帯モード] [URL送信]
それはまるで愛を確かめ合う様に
  キィン…!


森の中から金属の触れ合う音が響く


「オラァ!どうした神父!

いつもより攻撃が弱ェぜ?」

「貴方こそ、いつもよりチェーンソーの歯切れが悪いんじゃないんですか?」


お互いさっきからこの調子だ


どちらかが言えば言い返す

そのやり取りばかりが続いていた



「鋸足3足!」


ギリコの攻撃が上から迫ってくる


ジャスティンはスゥ…と大きく息を吸い目を瞑った

あろう事か、腕のギロチンを解除して

ギリコの攻撃がすぐ上まで迫って来た

「ッ!?」

…………。


だが“ブォンッ”とけたたましい音がするだけで痛みが来る事は無かった


目を徐々に開けば眉間にシワを寄せるギリコがすぐ目の前にいた

「テメェ…どういうつもりだ!」


「おや、切らないのですか?」
「武器解除しやがって…!

そんなヤツ切ったって楽しくも嬉しくもねぇ!」


そしてギリコは力いっぱいジャスティンの胸倉を掴み怒鳴る散らす

「ナメてんのかテメェ…!

戦ってる最中に武器解除するなんて馬鹿じゃねぇか!?」


「えぇ…馬鹿かも知れませんね…」


ジャスティンの言葉にギリコは訝しげな顔をする


「“貴方とは戦いたくない”、なんて言ってしまったら神に背く発言になってしまうのでしょうね…」


「なっなんだよ…いきなり」


ギリコは掴んでいた手を離し少し後ずさる


「僕は、貴方とは戦いたくないと言ってるんです」


「何言ってんだテメェ…!どういう意味だ…!!」


「僕考えたんです

好きな人を…愛しい人を…この手で…死神様の命だからといって殺して良いのかを」

「………はッ!?何言ってんだテメェ…!」
「…とても自分らしくないのですが…

僕は貴方が好きなんです」

「……」

「ばっ…馬鹿ですよね!
味方ならまだしも、敵同士でしかも同性を好きになってしまうなんて…本当…馬鹿ですよね…」

ジャスティンは目を潤ませ訴えた

「どうか笑って下さい、この背徳で哀れな僕を…」

目に涙を溜めながら首に下がる十字架にそっと触れようとすると不意にきつく抱き締められた


「ッ…何をす「笑いやしねぇよ、神父…」


ギリコはジャスティンのイヤホンを抜いた


「俺もお前が好きだ」

「……え……?」


「イヤホン抜いてやったのに聞こえなかったか?俺もお前が好きなんだ」


ギリコの発言にキョトンとしてしまう

まさか自分と同じで好意を持っていたなんて………


「……両思い…ですね」

ジャスティンはギリコの背に手を伸しキュッと少し服を掴んだ


「…あれだな…俺達…

もっと早くこうしていれば良かったな…」

「同感です」

ジャスティンは少し笑って答えました


そして間も無く二人は、甘くて深くて少し切ない口付けを交わしたのでした


それはまるで“愛を確かめ合うかの様に…”

二人の間には銀色の糸がキラリと光ったのでした




(-好きな気持ちに敵も味方も無い…なんてね-)

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!