しろの小説(長編)
万事屋たるもの…
「…？何してんだ？反物なんて持ってきて」
「あァ？何って、ずっとこんなぶっかぶかな服着てるワケにもいかねぇだろうが。元の姿に戻るまでの間着る分だけでも２、３重ねくらい作っとこうと思ってよ」
｢作っとこうって…自分でか？｣
｢いや、わざわざ注文すんのもめんどくせーし時間かかるし、着流しぐれーなら慣れりゃあちゃちゃっと縫えるけど？インナーとズボンも作ろうと思えば作れっけどどうすっかなぁ｣
｢器用すぎんだろ…｣
｢万事屋たるものコレくらいは出来なくては。…なんてな｣
｢あ、銀ちゃーん｣
｢おわっ、おまっ、金時っ!!危ねーだろ!!ハサミ持ってるトコに抱きついてくんじゃねぇ!!｣
｢よォ銀時ィ。着るモンぐれぇわざわざ自分で作らなくても俺が用意してやるぜ？｣
｢いや、テメーに貸し作ると後が怖ェし｣
｢いっそぶかぶかなままでいいんじゃない？俺は好きだけどなー｣
｢さすがに動きづれぇんだっつーの。このままじゃあよ。ただなぁ、元の姿に戻るまで外出しないワケにもいかねェと考えるとなぁ…｣
｢……それなら…、外出るならコレ使え｣
｢は…？…何だ…コレ…｣
｢…子供用の履物？｣
｢その…いざとなった時にねぇと困んだろ。念の為だ｣
｢しかも草履とブーツ、一足ずつ入ってるよコレ｣
｢…どれがいいのか分からなくてな｣
｢………｣
｢いらなくなったら捨てろ。別に貸し借り云々言うつもりも恩着せるつもりもねェ｣
｢……土方｣
｢あ？｣
｢……礼は言わねェぞ｣
｢あぁ｣
｢銀ちゃん銀ちゃん｣
｢なんだ？｣
｢ちょっと耳貸して。………｣
｢……はぁ!?｣
｢きっと喜んでくれるんじゃないかな｣
｢喜ぶか？むしろ嫌だろ？｣
｢大丈夫大丈夫☆｣
｢……ひ、土方｣
｢？ どうした？つかお前顔赤くないか？｣
｢き、気のせいだ｣
｢だが…｣
｢俺が気のせいつったら気のせいなんだ!!わかったな?!｣
｢あ、あぁ……｣
｢…ちょっと屈め｣
｢そりゃ別に構わねぇが一体………!?｣
｢…だ、代金の代わりだ！文句は一切受け付けねぇからな!!｣
｢あ、逃げた｣
｢……何のつもりだ？テメーはよォ？銀時にあんなマネさせて｣
｢見てのとおり、ただのお礼だって。ほっぺちゅーぐらいであんなに真っ赤になるなんて本当可愛いなぁ♪あ、土方くんがフリーズしてる｣
｢幸せを噛み締めていそうなあの野郎をぶった斬ってきていいか？｣
｢まぁまぁ、たまにはいいんじゃない？アレくらいのアメは時には必要だと思うけど？｣
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