しろの小説(長編) 対立と一時休戦 「せっかくだし林檎剥こうか。食べるよね?苺やデザートとかもあるから食べたかったら言ってね」 「とりあえずそのナイフ一回洗ってきた方がいいんじゃねーか?」 「んー、それもそうだね」 「ところでよォ…おめーら、敵同士のワリには馴染んでるよな」 「そうか?」 「まァ、今は緊急事態だしな」 「一時休戦ってトコだな」 「確かに俺ァ、メンドー事はゴメンだとは言ったが、優先順位おかしくね?」 「お前の一大事に争ってる場合じゃねェだろうが」 「いや、そもそもそれが……まァいいや、どーでも。っつかもうツッこむのもだりィ」 「それがなけりゃ今すぐにでもコイツを粛正してぇところだがな」 「言うじゃねェか、幕府の狗が。しかし奇遇だねェ。俺も同じことを考えていたところだ」 「はーい、ストップストップ。やるなら外出て俺とは関係ないところでやれ。じゃねーと二度とうちの敷居は跨がせねーぞコノヤロー」 「な〜んか楽しそうだねぇ。血祭りに上げるんだったら俺も手伝うよ?」 「あ〜…。金時、これ以上事態をややこしくさせるようなこと言うな。それにお前が言うと冗談に聞こえねーんだよ」 「冗談じゃあないんだけどなー。…あ、林檎切ってきたからどーぞ。皮全部剥こうかなとも思ったんだけど」 「ウサちゃんリンゴ?」 「銀ちゃんの顔見たらなんかこっちの方がいいな〜って思って」 「…どういう意味だ?」 「そのままだろ」 「可愛いものには可愛いものを…か。ククッ、てめぇ分かってるじゃねぇか」 「別に高杉に褒められても全っ然嬉しくないんだけど」 「あーもー、何でもいいよ。じゃあ、食うぞ」 [*back] [戻る] |