しろの小説(短編)
【高銀】距離【攘夷】
「ん〜…」
「あァ?なんだ?人のことをジロジロと」
「昔よォ…、あ〜、やっぱやめとくわ」
「言いたいことがあるならはっきり言え」
「言ったらオメー、怒るし」
「中途半端に話やめるぐらいなら最初から言うんじゃねぇ。俺がそういうの嫌ぇなのはお前が一番よく知っているだろうが」
「……別に大したことじゃねぇし」
「だったら言ってみろ」
「…ガキの頃にオメーが俺やヅラの身長ぐらいすぐに抜いてやるとか言ってたのをふと思い出してよォ、結局抜かせてねェよな〜って…」
「………」
「ホラ、だから怒るって言ったじゃん」
「…怒っちゃいねぇが、どうしてそんな事を今になって思い出したんだ?」
「あ?別にコレと言ってワケとかねーよ。俺の方が高いんだなーって改めて思ったぐらいで…」
「……ククッ、そういうことか」
「なんだよ?一人で何納得してんのかしらねーけどいきなり笑い出すとかキモイよ?お前」
「テメーも可愛いトコあるじゃねーかと思ってよ。銀時」
「は?可愛いって…とうとう頭でも沸いたか?」
「背が高いだの低いだのなんてこうすれば関係ねェさ」
「!?……ってぇ…。何しやがんだバカ杉!!」
「要は立ってなきゃ気にはならねぇだろ」
「あぁ、それよりも俺はオメーに押し倒されてるこの体勢の方が気になるからな。つかどけよ」
「そうゆうワケにはいかねェなぁ」
「ふざけっ…んんっ、……ん、はっ……」
「……」
「……はぁっ、はぁ……一体いきなりなんなんだよお前はっ」
「まだしらばっくれるつもりか?銀時。主観的に身長差を感じるのなんざキスする時ぐれぇのモンだろ?」
「………」
「そんなモン気にならねェぐれぇ良くしてやるよ」
「ちょ、ばっか…誰か来たら…」
「来ねェよ。他の奴等なら傷を癒す為にお休み中だ」
「オメーもお休みしてくれよ。永遠に」
「俺とお前が早く休めるかどうかはお前次第だぜ銀時」
「はぁ…。ほどほどにしろよ」
「足腰立たなくなった時は護ってやるよ」
「うっせー、誰がお前の手なんか借りるかよ」
「ククク、そうかよ」
「ん…っ、ぁ…」
この距離がいっそ無くなってしまえばいいのに。
ココロもカラダも。
互いの温もりを肌に感じながらも二人は交わらないその想いを心の片隅に燻らせるのだった―――
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