しろの小説(短編)
【土銀】misunderstanding
いつもと何も変わらないある日の事。俺はソファーに寝転がり、今週のジャンプを読み耽っていた。
いつもと違うことと言えば今日は土方が非番で、うちに来ていることぐれぇか。
その土方はと言えば煙草をふかしながら新聞を読んだり、ワイドショーを見たりしている。一体ドコのお父さんですか!?ってツッコミはまぁ置いとくとしてTVで流れてる話題にふと土方が口を開く。
「そういやコレ…、ネットとかで『生きるのがツライ』って書き込みとかよくあるみてぇだけどよ」
「ふんふん」
ジャンプを読む姿勢を崩さずテキトーに返事を返す俺に土方はそのまま言葉を続けるが次の瞬間、俺は思わず土方の方を見ることになった。
「どういう意味だ?」
「……は? あ〜、『二次元の人物が好きすぎて三次元を生きるのがツライ。二次元に行きてぇ』…みたいな?」
確かそんな意味だったよな?
聞かれているのはそーゆーことだよな?違うのか?と思いつつ答えると土方は何かを考えるように視線を右へ左へとさまよわせる。…俺、なんか見当外れなこと言ったか?
「……あぁ、なるほど。いま理解した」
「う…そ…だろ?いやいやいや、わかるだろっ!!話の流れで!!」
俺はガバッと勢い良く起き上がるともう読むどころじゃなくなったジャンプをその辺に放りなげた。
「今まで『生きるのがツライ』に『死んでどうする』って思っていたんだがな」
「はぁ?バッカじゃねーの?本気で言ってるワケねェだろ!そんなん流行んねーよ!!誰も連投しねぇよ!」
「至極まともなこと言っただけなのにそこまで言われるたぁなんか納得いかねぇな」
「むしろこっちがびっくりだわ!お前トッシーだった時も意味分かってなかったのかよ?二次元オタクだったくせに!」
「そいつのことを口に出すんじゃねェ!!また出てきたらどうすんだ!!…お互い全部の記憶を共有してたワケじゃねぇからな」
「ふーん…。むしろ俺はJKの意味があまりわかってなかったな。最近まで」
「『常考』だろ。『常識的に考えて』」
「やっぱお前、変だわ。何でJKとかwktkとか分かるのにアレが分かんねーんだよ?銀サン、マジで『なん…だと?』って思っちまったじゃねーか。むしろ俺はJKは『女子高生』しか思い浮かばなかったけど」
「まぁ、分からんでもないがな」
「俺よりお前の方が色々知ってそうなのにな」
「んなこたぁねぇよ」
「…ははっ」
「どうした?」
「いや、なんかおもしれぇなぁと思ってよ」
「どういう意味だ?」
「わからねェならわからねェままでいいんじゃね?」
「ちっ、言わねェなら…」
ギシッ
「…吐かせるまでだ」
「ふっ、出来るモンならやってみろよ。土方」
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