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海賊と少女のカリブ海
第1金貨 「ポート・ロイヤルの港」
〜キャンサー Side〜

カリブ海の港ポート・ロイヤル、切り立つ断崖の上に築かれたフォート・チャールズにより、この港町は敵や海賊から護られている。
町の一番安全な土地には大きな屋敷がある、そこではポート・ロイヤルの総督であるスワン総督とその娘エリザベスが暮らしていた、さらに細かく言えば、そこで働く執事やメイド、料理人たちも暮らしていた、もちろんウチも。

料理長「キャンサー!例のスープ完成させといてくれ!」

「了解!」

ここは屋敷の厨房、ウチはここで最年少のコックとして働いている、ピアノも弾けるため、時には音楽家として演奏することも、そんなウチにとって手は命より大事なものだ、日頃から気にかけて生活している、それでも剣とピストルの練習は欠かさない。

料理長「誰かお嬢様の食事を運んでくれ!」

「ウチがやるよ!」

ウチはエリザべスお嬢様の食事を部屋まで運んだ。

〜エリザベス 部屋〜

コンコン

「お嬢、食事お持ちしましたよ。」

エリ「入って。」

ウチは許可を得て部屋に入った、お嬢は二コリと微笑んでいた。

「お嬢、食事を運ばせるなら執事に頼んでくださいよ、ウチらコックは料理を作ったらお役御免なのに。」

エリ「ごめんなさい、でも私、あなたとお話しできるのがとても楽しくて、つい呼んでしまうの。」

「クス、ウチもですよ。」

エリザベスお嬢様はとても優しい方だ、総督の娘という高貴な身分でありながら、決して気取らず、使用人たちにも普通に接してくれるのだ。
その中でもウチはお嬢のお気に入りだ、お嬢は20歳、ウチは16歳、年も近いから話しやすいと以前言われた。

エリ「また近々あなたのピアノが聞きたいわ、あなたの演奏はとても素晴らしいもの。」

「それは嬉しいお言葉、ウチも誰かに聞いてもらえるのがとても幸せなんです、また近々演奏しますね。」

エリ「えぇ。」

そこで話が終わると、おもむろにお嬢はため息をついた。

「・・・今日は大変でしたね。」

エリ「えぇ、まさか本当にプロポーズされるとは思ってなかったけど・・・まさか本当にされるとはね。」

「そうじゃなくて例の海賊ですよ。」

エリ「・・・・えぇ、恐ろしかったわ。」

今日、エリザベスお嬢様は海賊に人質にされたのだ、海賊は“ジャック・スパロウ”というカリブ海でも有名な海賊で、逃げはしたが結局捕らえられ、今は牢の中らしい。

「でもプロポーズされたんですね、素敵じゃないですか、最高のお相手ですよ。」

エリ「そうね、女は皆結婚したいはず、素敵な方よね・・・・。」

だが、お嬢の顔は浮かない表情だ、ウチはその理由を知っている。
お嬢は鍛冶職人のウィル・ターナーに想いを寄せているのだ、そしてターナーも同じく想いを寄せている、二人は互いに想いあっているのだが気付いていないのだ。

「お嬢、ウチはまだ恋をしたことないですが、恋愛は自由だと思います、自分の気持ちに素直になった方が幸せになれるんじゃありませんか?」

エリ「・・・そうね、また考えてみるわ、ありがとう、そう言ってくれて。」

お嬢はやっと笑顔になった。

エリ「あなたも早く恋が訪れるといいわね、時には苦しむけど恋っていいものよ、好きなタイプとかないの?」

「んー・・・ヒョロヒョロしてて頼りない男は好きじゃありませんね、ほどよく筋肉質で頼れる男でしょうか。」

エリ「性格は?」

「やっぱり性格が一番ですね、頼りなくても優しい人は好きですよ・・・・あと少しマヌケな男も嫌いじゃありません、可愛いじゃないですか。」

エリ「あなたはまた・・・本当におもしろいわ。」

そうしばらく楽しくお話したあと、ウチはエリザベスお嬢様の食事を持って厨房へ戻った。

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あきゅろす。
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