東京の兎と浪速の虎
第6R 「兎と虎 大阪で再び」
〜愛癒兎 Sido 8〜
今ウチらは大阪に来ている、大阪にあるボクシングジムにお世話になるのだ。
木村「愛癒兎、お前最近、根詰め過ぎじゃねーか?」
「そんなことないよ、これくらいしないと一歩は試合出られないから。」
鷹村「でもお前、顔色悪いぞ、どーせ寝てねーんだろ。」
青木「色白な顔が真っ青だぜ。」
「そんなことは・・・。」
否定しようとしたが、窓に映った自分の顔は健康的とは言えなかった。
鷹村「・・・・・そーいやお前、大阪に来るのはじめてだから、楽しみだって言ってたな。」
「え、まぁ。」
鷹村「ってことだジジィ、しばらく愛癒兎がいなくても平気だよな?」
鴨川「そうじゃな。」
「へ?」
話が勝手に進んでいって、ウチは理解できなかった。
木村「ほら、愛癒兎は商店街にでも行ってこいよ。」
青木「気分転換してこい。」
「あ、え?」
そしてウチは外へ放り出されてしまった。
“皆に、変な気を遣わせちゃったな。”
自分は大丈夫だと言おうとしたが、鷹村がそれを許さない、今だって、戻って来れないようにドアの前に立っている。
「気分転換に出かけさせるんなら、誰かついてこいってんだよ。」
ちょっと悪態をついてみたものの、皆の優しさに口元が笑ってしまう。
「さて、んじゃ出かけるか。」
ウチは大阪に繰り出した。
〜商店街〜
ワイワイ、ガヤガヤ
さすが賑わいの街だ、どこも活気で溢れている。
「あ、いい匂い。」
たこ焼きのこおばしい匂いにつられていると。
ドンッ
人の波に押されてしまった。
“マズイ、転ぶ・・・・・!”
次にくる衝撃に目を閉じると。
ぽす・・・・
?「姉ちゃん、大丈夫かいな?」
がっしりしたいい筋肉のつき方をした男性に、ウチは抱きとめられていた。
「すみません、ありがとうござ・・・!」
その男性を見て、ウチは固まった。
「千堂武士!」
千堂「なんや?ワイのこと知ってるんかいな?」
奴はウチに気付いていない。
「千堂、ウチだよ。」
千堂「・・・・・・・・はぁ!?」
目をひんむいて驚いた。
千堂「宮田の姉ちゃんなんか!?でも女の恰好しとるし・・・。」
「失礼な、私服はちゃんとレディースもの着るわ。」
千堂「まぁ、レディース言うてもボーイッシュやな。」
「まーね。」
ウチは千堂から離れて、服の乱れをなおす。
千堂「・・・せや、アンタこのあと暇か?」
「時間はあるよ。」
千堂「なら、ワイとデートしーひん?」
「へ?」
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