創作
謎の道を進むなら1-D
どこにいるのだろう。
マサヒコは一生懸命コウタを探した。
いつも行きそうな図書室。
たまに安らぎを求めにいく屋上。
なぜかいつも行く保健室。
「コウタどこ…?」
「マサヒコ!」
「ケントぉ」
マサヒコは今にも泣きそうだ。
ケントはそんなことだろうと思っていた。
マサヒコの保護者的存在のケントは大体の行動パターンが読めるのである。
「一緒にコウタを探そうな」
「…うん」
一人で心細かったのか、ケントの洋服の裾をしっかりと掴んでいる。
「(不安だったんだな…)」
「コウタ、見つかるよね?」
「見つかるって!ほら、元気だせ!」
しばらく二人はいろんな所を探したがコウタは見つからない。
「外にいるのかな?」
「多分…」
「「あ!」」
二人はまだ探していない場所を思い出す。
「「もしかしたらあそこにいるかも!」」
「(俺は馬鹿だ…)」
コウタは大きな桜の木を見上げていた。
三人が初めて会ったこの場所。
なにかあると二人には内緒で来ていた安らぎの場所。
「馬鹿だ、俺は…」
「そうだな、大馬鹿野郎だ!」
「コウタぁ!ごめんねー!! 泣」
「ケント…、マサヒコ…」
「すげぇ心配した」
「ごめん…」
「でも、見つかって良かったよ」
「コウタごめんね?」
「あぁ」
またいつもの三人に戻っていた。
あの場所には行く機会が減るだろう。
風に吹かれている桜は三人の周りを包み込むように舞い散った。
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