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銀の夢 
チョコレートの日(♀銀+高+土)
注 特殊設定

ここではタブル副長で、何故か高杉さんが真選組で働いています。
銀ちゃんは、女の子ですが、通常通り。
そして、松陽先生も生きています。生きてなかったら高杉さん、復讐の道を歩んでしまうんで。設定が成り立たないんで。

ちなみにヅラはjoyしちゃってます★


ご理解頂けて、へっちゃらだようかん!←おいw
っていう方はそのまま下へどうぞ



***



天気のいい昼下がり。

今日は非番だったため、高杉は優雅に一日を過ごすつもりだったが、朝から大量のチョコレートが高杉の元に届けられ、高杉は少々機嫌が悪かった。もう一人の鬼の副長、一番隊隊長も同様だ

(ちなみに、高杉は破壊の副長と言われている。
本人は知らないが。)


だいたい甘いものは好まない。

知らない女どものチョコレートなんか食えるかと隊士たちに押し付けたら、泣いて喜ばれた。

相当、女に飢えているらしいな、てめえら。

と笑ったら、いいですね、高杉さんは!と皮肉の混じった目で睨まれた。
睨みかえしたら、チョコレート有難うございまーす!と叫びながら飛び上がって逃げていったが。


こういうもんは、知らない奴からの物を大量に貰うより、好きな奴から貰った一つの物の方が余程いい。

「まぁ、彼奴が俺に糖分を分け与えるなんて事ありはしねぇだろうなァ。」

紫煙を撒き散らしながら、煙官を手で弄ぶ。
葵い空に雲を考えもなしに見上げた。
あぁ、あの雲、ソフトクリームみてぇ。とガキくせぇ事を考えていたら、

「晋ちゃん、確保ーー。」

と言うやけに間延びした声とともに、背中がズシリと重くなった。
それと、同時に目の前が青と白の世界から柔らかい銀色の世界へと変わる。


「銀時…」

「やっほー、晋ちゃん。なんか元気ないねー、どうしたぁ?」

そう言いながら、小さな顎を俺の頭にのせグリグリと動かした。
何がしたいんだ。と睨めば、顎ドリルー。と笑った。おい、何だ。やけに可愛いじゃねぇか。

「んで、何しにきたんだ。」

うりうりー。と未だに顎ドリルやらを俺の頭に仕掛けてくる銀時に問う。


「む、何よ、その言いぐさー。銀さんが、わざわざ幸せを届けにきてあげたんだぞー!」


「…はぁ?」

少し、頬を膨らませながらも、銀時はごそごそと懐を漁り、あるものを取りだし高杉に見せた。

「…チョコか?」

「ピンポーン、そうだよ!チョコというか、正確にはガトーショコラ様でーす。」

「様いらねぇだろ。」

「バッカ、糖分は崇めるもんなんだよ。さあ、土下座しろ、高杉。」

「やだね。」


フイッとそっぽ向けば、もうー。と銀時が呟く。そして、ぽとっと可愛くラッピングされた袋を高杉の膝におとした。

「はい、晋ちゃんにあげるー。」

「…お前、なんか悪いもんでも食ったかァ?」

「なっ…失礼な!何で、皆おんなじ様な事を言うわけ?ヅラにしろ、沖田くんにしろ。具合でも悪いのか!隕石がふってきまさァ。とかさ!」

「何だ、他のやつらにもやったのか。


背中にのしかかる重みにそろそろ腰がいてぇな。と眉をよせる。

まぁ、それと
同時に胸の感触を味わえるからいいとしよう。

「うん、だって今日はチョコレートの日でしょ。


「バレンタインな。」

「そうそう、バレンタイン。他にも、先生とか新八、ゴリラにもあげたよー。あ、あとジミーくんにも。ジミーの分は忘れてたからポッケに入ってたチロルチョコだけどね。」



ざまぁねえな、山崎と嘲笑いながら、シュルシュルと丁寧に結ばれているリボンをほどく。
中から出てきたのは綺麗に焼かれ、作られたガトーショコラ。

あ、何、もう食べんの?と銀時が後ろでカラカラ笑った。

「晋ちゃんは、甘いもんダメだから、甘さ控えめに作りましたー!」

「お、なんだ、手がこんでんな。本命かァ?」

笑い混じりに問えば、まっさかーぁ!と笑われた。少しガッカリしたのは内緒だ。

パクッと頬張れば、少しの甘味が口の中に広がった。


「美味しい…」

とつぶやけば

「えへへー、そうでしょーっ!」



と銀時は自慢そうにニコニコと唇の端をあげた。


「お粗末様。」

「はい、お粗末様でした!わぁ!晋ちゃん全部食べてくれて銀さん感激よ。」

銀時にペシペシ背中を叩かれる。その様子はとても嬉しそうだった。しばらくそうしていると、ふと銀時の動きがとまる。

「ふぁぁ、ヤバイ。何か眠くなってきた。ねぇねぇ、晋ちゃん。膝枕して!」

「はぁ、ふざけんな。
逆に、てめぇが俺に膝を献上しろ。」

「やだやだ、今は銀さん、久しぶりに膝枕してほしい気分なの!」

そう言いながら、どーん。と言う効果音とともに
銀時が高杉の膝に頭をのせる。
しょうがねぇな。と笑えば、銀時は嬉しそうにやったー。と声をあげた。

「晋ちゃん、相変わらずのサラサラヘアーやねぇ。羨ましいー。」

「はっ、てめぇと違って日頃の行いが良いから毛根がてめぇみたいにネジ曲がったりしないんだよ。」

「うわー、ひどーい。ぜってぇー違うくせにー。」

ケラケラ笑いながら銀時はサラサラの高杉の髪に手を伸ばした。

「ほんっと、艶のいい黒髪ねぇ。あ、でも、ちょっと晋ちゃんのは紫がかってるね。
それにたいして土方は緑がかってる。」

「あ?なんで野郎の名前がでるんだよ。」

「ん?だって同じサラサラ黒髪じゃん。向こうは前髪v字だけど。」

「彼奴にも、チョコやんのかァ?」

と眉を寄せる。
すると、銀時はうんうんと高杉の髪をいじりながら頷いた。

「そ、他のやつらにはあげたしね。一応あげなきゃ。」

「あげなくていいだろ、彼奴にやるくらいだったら俺に寄越せ。」

「それ、先生も同じようなこと言ってたよ。チョコを先生にあげたときにね、他の人にも配りに行くって言ったら、他の男どもに渡すくらいなら私が全部貰います!ってね。大丈夫!先生のは特別で本命だよ!って言ったら泣いて喜んで事がすんだけど。」

「すげぇな。」

「でしょ?あ、あとね、辰馬の分はどうやって渡そうかなって思ったら、わざわざ彼奴。宇宙から俺のチョコ貰いに来たんだよ。びっくりしたなぁ。」


話ながら、ゆっくりゆっくり瞼を閉じていく銀時。たぶん、相当眠いのだろう。
こりゃ、徹夜してチョコ作ってたな。

「おやすみ。」

そう声をかけた頃には、スースーと気持ち良さそうに寝息をたてていた。
こんちきしょう、可愛いじゃねぇか。と微笑む。

いつも、不適な笑みを浮かべている高杉がとても柔らかく笑った瞬間にたまたま隊士が通りかかり、目撃した。
そのあまりの驚きの光景に、思わずびびりすぐににげだしたが。

フアフアと触り心地のよい
銀色の髪を撫でていると、バタバタと少し乱暴な足音が聞こえた。
足音が聞こえた方を向くと、土方がこちらに歩いて来ているのが見えた。
ちっ、むなくそわりぃ。

向こうも、こちらに気づいたらしく眉間に少しシワが寄せられた。

「高杉、今日は非番か」

「あぁ、そちらさんは巡回からおかえりかい。ご苦労なこって。」

「そう思うなら、書類の整理ぐらいしやがれ。相変わらず、派手な着物着やがって。真選組の品性が疑われるわ。」



「生憎、俺ァ、非番の日まで仕事はしない主義なんでな。
それとなァ、てめぇみたいに、いっつも真っ黒黒助みたいなやつに私服をとやかく言われたかねぇ。」


二人の間にバチバチと軽く火花がちる。だが、高杉の膝に眠る存在によって土方の視線がそらされた。

「…万事屋?」

気持ち良さそうに眠る銀時の姿を見つけ、土方の鋭く光る瞳がふと和らげられ、優しく細められた。
その様子をみて、あぁ、こいつもか。と高杉は気付かれぬほどの小さいため息をついた。

こいつも、銀時に惚れている。愛おしいと感じている。

だから、高杉は土方のことが好きではないのだ。自分から銀時を拐っていってしまうかもしれないから。


「何で、こんなとこにいんだ。」

そう言いながら、タバコに火をつけ、くわえた。
そしてよこっらせと銀時がいる側の縁側に腰を下ろす。
タバコ吸うんじゃねぇ、煙い。と睨むが、てめぇの煙官もそうじゃねぇか。と睨みかえされた。


「幸せを届けに来たんだとよ。」

「…幸せだぁ?」

?マークを浮かべた土方にこれだ。ともう中身のなくなった袋をみせる。

ああ、チョコか。と呟いた。

「羨ましいだろ、てめぇの分はねぇぜ?」


本当はあるのは知っているが、嘘をつく。
むっ、と土方の顔が歪められた。
その様子を心の中で嘲笑いながら、ポツリとこぼす。

「まぁ、残念ながら本命で貰えなかったがな。」

それを聞いて、土方は少し驚いていた。

「付き合ってなかったのか、てめぇら。」

「なんだ、付き合ってると言ってほしいのかァ?」

「いや…」

どこか、ホッとした様子の土方にちっと舌打ちをする。付き合っていたにしろ、てめぇは
横から銀時を奪おうと息を潜めていただろうに。

少しイライラしながら、煙官を吸う。先程のたべたガトーショコラのなごりか少しのほろ苦さを口の中でも感じた。


「ガキの頃からこいつの事好きだったんだがな、一回、思いきって、告白したことがある。」

そう呟けば、土方はへぇ。と目を丸くした。奴がふぅと吐いた煙が空へと儚げに消えていった。

「じゃぁ、付き合ってねぇってこたぁ、振られたのか?」

妙に期待した顔で聞いてきやがる。そらそうさなァ、俺が振られてりゃ、ライバルが減るからなァ。
だが、残念。鬼の副長さん。お前の期待通りのシナリオにはならんよ。


「いや、振られてはないぜ。だが、成功したわけでもなかった。」

「どういうことだ。」

「うん、俺も、晋ちゃんのこと好きだよ!小太郎達と同じくらい!って銀時は俺に言ったんだよ。つまり、答えは…俺は銀時にlikeではなくloveのつもりで言った好きだったが……」

そこで
一旦切り、ふぅーと深く紫煙といっしょに息をはいた。
先程と同じように儚げに空に向かって消えていく。

「こいつはそれをlikeで受け取り、loveではなく、likeの好きを俺に返してきたんだよ。」

気の毒そうな顔で土方は俺の話を聞いていた。でも、十分てめぇも気の毒なんだぜ?
なんせ…

「あの頃の彼奴には先生しか見えてなかったんだよ。先生が何より好きで、大切だった。そして、それは今もだ。」

しかも、また銀時は厄介な子供達を抱え込んでいる。自分に好意のある男達になど見向きもしないだろう。そもそも、その好意にも気づかぬほど鈍いのだ。

だから、だからな。

「てめぇも、銀時を自分の女にしようとしてるみてぇだが、相当骨が折れるぜ?ガキの頃からの俺でさえ困難なのに、てめぇはまだ俺の足元にも及ばないしなァ。」


「…なっ、てめっ。」

らしくなく顔を微かに赤くする土方。
そんな野郎を横目で見ながら、寝ている銀時の髪をサラリとなでた。

「…気づかねぇとでも?牙と爪が丸見えなんだよ。少しは隠しやがれ。それに、どんなに大層な牙を作ろうと、爪を研ごうと、銀時はてめぇなんかにはやんねぇよ、土方。」


ククッと気の毒、実にてめぇも気の毒なんだと笑ってやる。
その笑い声に反応したのか、銀時がひとつ身じろぎした。

「告白…またすんのかよ。」


「ふん。それはまだ、未定だなァ。ガキの頃、出た筈の勇気が大人になった今、何故か出せずにいるんだよ。皮肉なもんで、大人になると悪い方の事ばかり考えちまうもんさ。」

もし、この心地良い関係に傷ができ、崩れてしまったら?銀時に拒絶されたら?
俺は、もう生きていけねぇよ。それほど、弱い自分がいることに気づいちまった。

「はっ、生憎だが、俺も同じだよ。関係が壊れるのが恐ぇ。」

土方が空を見上げながら答えた。
どこか不安そうに。

「…そうかい。」

あぁ、どれだけ俺たちは、いま己の膝に眠る存在に振り回されているのだ。
と軽く笑った。


それから、しばらくの沈黙。黙って二人、煙をふかしていると、んぅー、という実に可愛らしい声と共に銀色の存在が起き上がった。

「ぁー、良く寝たぁ。少し腰がいてぇかも。」

「寝過ぎだ、ボケ、俺はお前のせいで膝が痛ぇわ、カス。」

「晋ちゃん、罵倒が激しいって…あれ?大串くんじゃん。」

隣に座っている土方に気づいた銀時が目を丸くした。

土方は不愉快そうにしながらも「土方だ!」と名前を訂正した。
ぜってー、銀時にかまってもらえて、こいつ嬉しい癖に。

土方を睨みつけるように煙官を吸っていると、銀時があっ、そうだ!と声をあげた。


懐をガサガサと漁る。どんだけ、懐にもの入れてんだ。

「はーい、どーぞー。土方くん、ハッピーバレンタイン♪」

「お、おう。」

ニコニコと可愛らしい俺のもらったものと同じような袋を渡す銀時。
まさか、貰えるとは思わなかったのだろう。それを、少し戸惑いながらも土方は受け取った。

「ちっ」

と舌打ちを溢す。土方の顔には、どうだ、高杉。俺も銀時から貰ったぜ。とありありとかかれている。
うざってぇ。

「じゃぁ、俺はまだ、書類の整理があるから行くわ。」

顔がにやけ始めるのが止まらなかったのだろう。そう言うと土方は足早にこの場から去っていった。まぁ、良い判断じゃねぇの。

「あ、お返しよろしくねー!」

遠ざかる土方の背中に、銀時は思い出したように呼び掛けた。


「なるほど、お返しが目的か。銀時ィ。」


それが目的なら、銀時が大事な糖分を皆に配った理由が頷ける。

「ぇ、そんなことないぜ?でも、お返しは期待してるね♪」

「ご希望の品物は?」

「んー、あれだよね。晋ちゃん、いつも良い匂いするよね。お香だっけ?晋ちゃん使っているお香がほしい。」

「ほぉ、ついに銀時も色気付いてきたかァ。」

ニヤニヤしながら問えば、そんなんじゃないって!と頬を膨らませた。

「ただ、なんとなく、晋ちゃんが近くにいるみたいでいいかなーって思っただけ!」

「…銀時。それなら、俺本体が毎日一緒にいてやるぜ?」

「やっぱり、いいです。新型のテレビにしてください。」


つれねぇな。と笑えば、魚じゃないし。と噛みつかれた。いや、そういう意味じゃねぇんだがな。

「まぁ、お香と新型のテレビでいいんだな。」

「え、どっちも買ってくれんの?」

「あぁ?俺を誰だと思ってやがる。」

「高杉さまー!かっこいー、男前!!」

抱きついてきた銀時を撫でてやると、好きー!とより抱きしめられた。

いつの間にか、日がくれて烏丸がカァカァと鳴いていた。
その鳴き声を聞いて、あぁ、もうそんな時間か!と銀時が立ち上がった。

「今日は、俺がご飯の当番なんだよ。」

「そうか、今度、食いに行っていいかァ?久しぶりにお前の飯が食いてぇ。」

「もちろん!あ、でも、先生とヅラもいるよ。」

「まじか。」


うん。と銀時がうなずく。最近、入り浸りなんだよ。と苦笑した。

「ほんじゃぁね、来るときは連絡してくれよな。」

そう言って、背を向け、帰ろうとした銀時におい。と声をかける。


「チョコ、本当に旨かった。」

そう伝えると、銀時はにこりと笑った。


「当たり前!銀さんの愛情たっぷりだもの。」

満足そうに言い切ると、くるりと背を向け走っていった。





その姿を見届け、クスリと高杉も満足そうに笑った。

「愛情…ねぇ。」


それはlike?それともloveか?

それを、もう見えなくなった背中に問いかけたが、やはり返答はない。

ふぅー、と吐いた紫煙がゆらゆらとただ空に消えてくだけだった。

















***

一日遅れでしたが、バレンタインネタでした★

私のなかでは高杉さんはツンデレさんです。笑

高杉は土方と銀ちゃんの取り合いをしていればいい。いや、まじで!

ちなみに、銀ちゃんはヅラには冷蔵庫をお願いしました★

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