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銀の夢 
小さき頃の夢(松下村塾時代 高銀♀?+松+桂)
めっちゃ捏造しております。原作と180度違います。それでもいいよ!と言う方はどうぞ!


高杉視点?











今日も、俺は片手に貢ぎ物の甘味を持ち松下村塾へと足を動かしていた。
ちなみに貢ぎ物の甘味は団子。
みたらし、あんこ、ごまだ。
彼奴が来てから俺は必ずと言っていいほど甘味片手に塾へと向かうようになった。
それに、何故か前より塾へと向かうのが楽しみに感じる。
また、彼奴の笑顔を見れると思うと胸が高鳴るのを感じた。
ああ、早く会いたいと足を速めると同時に「おい。」と後ろから声がかかった。
何だ。と足を止め後ろを振り向けば、そこにいたのはヅラだった。

「んだよ、ヅラか。」

と不満げに眉をよせれば、お約束通り「ヅラじゃない、桂だ!」と返ってきた。

「お前も、先生の所に行くところか。


と桂が高杉の横を歩きながら訪ねてきたので「ああ、」と短く相づちをうった。
まぁ、正確には先生ではなく、先生が拾ってきた子供の所に行くのだ。
それは、桂も同じだろう。
自然と綻ぶ口元を隠しながら俺はまた足を運ぶのを速めた。





塾へと着くと、先生が困った様子で玄関先に立っていた。その横には綺麗な紅い瞳をうるませ、先生の袖をきゅっとつかむ彼奴。そう、銀時である。

どうしたんだ。と不審に思いながらも二人に近づけば、「あっ」と先生が俺たちに気付いた。

「いっらしゃい、晋助に小太郎。」

と微笑む。
その先生の声に反応して、銀時も、うつむいていた顔をこちらに向けた。
目に涙をためた紅い瞳と視線がかち合う。

「「つっ!!」」

思わず俺と桂は赤面してしまう。

かっかわいすぎるぅぅっ!!!!

な、なな、なんなんだよ。
あの顔は!!反則すぎるだろーがぁぁぁぁぁぁっ!!!

ぎ、銀時の涙目なんて!レアだぞ!レアケースだぞ!!
くっ、だめだ、鼻血がでそうだ。
って出てるぅぅ!

頭を抱え、うめき出した高杉に、鼻血をポタポタと垂らし始める桂。

その様子を見て、涙目だった銀時はポカーンと口を開けた。
松陽は、おやおや。と口を開いた。


「ど、どうした…の?二人とも?どっか、いたいいたいする…の?」

突然のことに涙がひっこんだのか、
銀時がたどたどしい言葉で二人に話
しかけた。

こてん、と首をかしげる姿は破壊力抜群である。
更に悶え苦しみ始める二人をみて、「銀時は罪な子ですねぇ。」
と松陽はフワフワの髪を優しくなでた。

「そ、そう言えば、先生。何故、玄関先におられたのです?」

なんとか銀時の可愛さから立ち直り、俺は疑問に思った事を問う。
すると、先生は眉を八の字にしながらも口はにまにまと緩んでいる表情になった。困っているのか、嬉しいのか分からない。

「それがですねぇ。今日、町に教材を買いにいく事になったんですが、さすがにまだ銀時を多くの人がいるところに連れていくのは抵抗があるかと思いまして、銀時に留守番を頼んで町に行こうとしたところ、行かないで!と袖をつかんできたのですよ。
もう、その時の可愛さには心臓が飛び出すかと思いましたよ。涙目ですよ?袖をひいてくるんですよ?今なら私、死んでも本望だと思いました。あれ?作文かなぁ?なんて思いながら銀時の可愛さを堪能しているところ、貴方達がきたわけです。」

最後の方、銀時の可愛さしか語ってないですよ、先生!と思い苦笑いを浮かべた高杉。いや、銀時の可愛さは最強だと思うけれども。

すると、いつの間にか立ち直った桂が目をキラキラさせた。

「それでは!先生!!我々が銀時と留守番をするのはどうです?
我々がいれば、銀時も不安ではないでしょうし、先生も安心して町に行けるかと!」

「普段はトンチンカンのくせにたまには、良いこというじゃねぇか、ヅラ。」

馬鹿にしながらも、めずらしく桂の提案を誉めたら、高杉貴様!ヅラじゃない桂だ!と飛んできた。気にするとこそこかよ。

桂の提案になるほど。と先生も頷く。

「確かに、晋助と小太郎が居てくれたら心配ないですね。
しかし……。」

と言葉を詰まらせた先生。深刻な表情に何事かと息を飲む。
だが、次に放たれた言葉はひどく間抜けなものだった。

「私が銀時と離れたくありません。」

少しの沈黙。


俺と桂がその時思ったことは多分、否絶対同じだろう。


そんなもん知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!



当然、そんなこと口に出せるわけもなく、必死に言葉を飲み込んだ。
そのあと、ごねる先生を無理矢理、町へと促し、何度も何度も此方へと振り向く先生を見送った。

「銀時っ!!必ず必ずっ早く帰ってきますから!」

と涙を流しながら町へと向かう姿に流石の俺と桂も苦笑いを浮かべた。

しかし、ちらりと横の銀時を見れば微かに不安が見てとれる。
まぁ、ここに来て初めて少しの間だろうが先生と離れるのだ。
不安があるにきまっているだろう。

「さて!中に入って先生を待つとしようではないかっ!」

桂もそれに気づいたのか、気づかなかったのかは分からないが、無駄に高いテンションで歩き始めた。

俺もそれに続き、「そうだな。」と歩を進める。

そして、今だ先生が町へと出掛けた方向を見つめる銀時に声をかけた。

「ほら、銀時。何、ぼーーっとしてやがる。早く、中に入るぞ。」

と促せば、「うん。」と小さく頷いた。いつもより、やはり元気がない銀時
。こんなとき、どう励ませばいいのか、まだ幼く、不器用な俺には分からなかった。
とりあえず、団子を持ってきたぞ。と呟く。こんなことで元気になるとは思えないがーー・・・・

「ほんとっ!!お団子ぉ!?やったぁぁ!銀、お団子だいすきなの!」

途端に目をキラキラさせ、満面の笑みになる銀時。
やった、やった!!と飛ぶ跳ねる姿にさっきまでの不安そうな顔はどこにいったんだ。と呆れたが、まぁいいか。と微笑んだ。
その微笑みに銀時が少し顔を赤らめたのに高杉は知るよしもなかったが。








天気がいいから縁側で団子を食べようとなり、よいしょと縁側に腰を掛ける。
気持ちいい風が吹いていた。
やはり、ここは居心地が良い。

パタパタと歩く音が聞こえた。
音がするほうに目を向ければ、そこには銀時と桂の姿。
お茶をくみにいっていたのだ。

せっせとお茶を運ぶ銀時に桂は「大丈夫かっ!」
と心配そうに、慌てながら銀時につづく。

「お茶!!」

銀時は俺のところにくると、お盆にのっている湯飲みのひとつを俺に渡した。
「あぁ。」

礼を言うのもなんとなく恥ずかしく感じて小さく頷きながら湯飲みを受けとる。

お茶の良い匂いが広がった。
ほらよ、と少し乱暴に団子の包みを投げて渡せば、銀時は俺とは違い素直にありがとう!!と満面の笑みで礼を言った。
そして、丁寧に丁寧に包みをあける。
包みから姿を出した団子にわぁ!と嬉しそうに声をあげた。
早速、みたらしとあんこを両手に持ち、実に美味しそうに頬張り始める銀時。
とても幸せそうな顔が瞳に写る。
そう、この顔だ。この顔が見たいがために俺は甘味を持ってくるのだ。

「銀時!団子を喉に詰まらせるでないぞ。ほら、茶も飲め。」

モグモグと次から次へと団子を消費していく銀時に桂が湯飲みを差し出した。湯飲みを受け取った銀時が茶を飲もうと口に湯飲みを近づた瞬間、ぴたっ
とその動きが止まる。

なんだ?と首をかしげれば、みてみて!と銀時が嬉しそうに湯飲みをズイッと見せてきた。

その湯飲みには茶柱がたっていた。

それを見た桂がほぉ。と声をあげた。

「茶柱か。縁起がいいな。」

「うん!ちゃばしら!!すごいでしょっ。」

ニコニコと湯飲みを大事そうにもつ銀時。相当嬉しいらしい。

「つーか、銀時。よく、茶柱知ってたな。」

感心して言えば、フフン。と鼻を鳴らす銀時。あ、可愛いわ、天使。

「んとね!先生がいってたの!
まえ、いっしょに飲んだときに先生のやつにちゃばしらがたってて、これなぁに?って聞いたらちゃばしらですよ。って!ちゃばしらがあると良いことがあるかもって教えてくれたの!」


得意そうに言う銀時にそうか、なら良かったな。と言ってやれば、えへへーと笑った。気のせいか銀時の頬が少し赤いように見えた。

お茶をチョビチョビ大事そうにのみながら再び、団子を食べ始めた銀時。

桂はその隣で茶をすすりながら、良い天気だな。と呟いていた。
老人かよ。とひとりでに突っ込む。

ふと、目についたゴマの団子を手に取る。ぱくっ、と口に入れればゴマの香りが広がった。
甘ぇ。

元から、甘いものは得意でない。
それでも、目の前の銀色が美味しそうに食べる姿を見て食べてみるか。と思ったのだ。
しかし、甘いもんは甘い。
まぁ、けして不味くはないため、微妙な顔をしながらも完食した。

お茶を一口飲めば少しの苦味。ちょうど良い。銀時が入れた茶だからなのか、いつもの数倍うまく感じた。

ほっと息をついていれば、見事に全ての団子を食べ尽くした銀時がうつらうつら船をこぎ出した。

無理もない。冬にしては珍しいポカポカした暖かめの今日。
眠くなるのは、当然。
桂に毛布でも持ってこさせるか。と桂を見れば、彼もまた船をこいでいるところだった。
目開いたまんまだけど。
相変わらず、怖ぇよ。と思っていると、ふと膝に重みを感じた。

膝に目をやれば、そこには愛らしい寝顔があった。

「っつ!!」

思わず、ごくりと息をのんだ。

すぅすぅ。と微かな寝息が聞こえてくる。どうやら完全に銀時は夢の国へと旅だったらしい。
目の前にはフアフアの銀色の髪。ずっと触ってみたい。と思っていたものが己の膝の上にある。
そう思うと心臓がバクバクと尋常じゃないスピードで動きだすのが分かった。
ゆっくり、否優しく銀色の髪に触れる。フアフア、フアフア
とても触り心地がいい。
優しく優しく、まるで壊れ物を扱うように撫でてやる。。

「んっ。」

突然寝ている銀時から艶のある声が聞こえ、ドキンっと心臓が大きく跳ねた。
しかし、銀時はそのまま実に気持ちよさそうに眠り続ける。

可愛い。愛らしい。

その言葉が心の中に広がる。
フアフアの頭を撫でながら、やっぱり、兎みてぇ。と呟いた。

初めて見たときも、そう思ったのだ。

太陽の光に照らされ、柔らかく光る白銀の髪。
今は閉じられている美しい紅い瞳。

真っ先に兎みてぇな奴だと思った。
愛らしい、表には出そうとしないが何処か臆病な兎。

ああ、愛おしい。どんな、暗闇でさえ照らすであろう銀色の光。

チュッ

無意識に銀時の白く輝く肌にキスをおとしていた。
唇にキスしないところが実に幼い高杉らしい。
キスをしてしまった事に驚き、焦ったが熟睡する銀時をみて、まぁ、大丈夫だろう。と心を落ち着かせた。



この暖かな銀色をいつまでもいつまでも守って大事にしていこう。


そんな考えを持ちながら、静かに瞼を閉じた。







「ただいま、戻りました。」

と玄関にて中に声をかけた松陽。
しかし、いつまでたっても子供達が出てこない。
もしや、何かあったかっ!!と慌てて中には入り、子供たちを探す。
子供たちは縁側にいた。

その子供たちの姿を見て、松陽はクスリと笑った。
仲良く、ぐっすり眠る三人。とても微笑ましい光景だった。
しかし、珍しい。銀時が人前でぐっすり眠るなんて。愛らしい寝顔をみて松陽はそう思った。

あの過酷な戦場の中を生きてきたこの子の眠りはとても浅い。
眠っている間に殺されてしまう可能性があるからだ。
だから、熟睡するときは滅多にない。
するとしても、それは松陽がそばに居るときだけだ。

それが、この二人の前で、晋助の膝の上で気持ち良さそうに寝息をたて、寝ている。
それほどまでに二人を信用するようになったのだろう。
成長しましたね、銀時。と微笑む。

ゆっくりだが、確実に扉を開いていく銀時に安心した。
でも、やはり


「妬けてしまいますねぇ。」


と雲ひとつない空をあおぎながら呟いた。

















はっ、と目が覚める。

だが、開いた目は片方だけ。
片方はとうの昔に見えなくなっている。

夢…か。

と顔に掛かる髪をかきあげた。

懐かしい夢を見た。

『小さき頃の夢。』

ふっと笑みを漏らしまぶたを伏せる。
昔に戻ったような気分だった。
ヅラがいて、先生がいて、銀時がいた。

とても、愛しく、大事で……守ると決めたはずの銀色の存在。

だが、守れなかった。守るどころか傷つけてしまった。


楽しかったあの日々。夢の続きはしっかり覚えている。

確か、あのあと、目を覚ましたら隣に何故か頭をボサボサにした先生がいた。

すごい驚いた。だって、普通は町へと行って帰ってくるのに3時間はかかる。それが、まだ1時間位しかたっていなかったから。

その後日、流れた噂。
あの穏やかで物静かな松陽が町を物凄い表情をしながら全速力の猛スピードで走っていた。と言う噂。
松陽を知る者は皆、そんなバカな。面白い冗談だ。と笑ったが、高杉と桂だけは笑えなかった。頬をひきつらせる事しかできなかった。

その出来事を思い出しながら高杉は
ゆっくりと立ち上がり、部屋を出た。






「あれ?晋助様、どこに行くんすか?」

今、船から降りようとしている高杉にまた子は声をかけた。
今日は久しぶりに江戸に訪れていた。
だが、普段江戸に来ても部屋にこもりぎみの高杉が外に出ようとしている事を不思議に思ったのだ。


すると、高杉が珍しくいつも浮かべている怪しい笑みではない、暖かな笑みでこちらを向いた。


「否、ちょいと臆病な兎に会いに行ってくるぜ。」

そう言い残し、軽やかな足取りで船から降りていった。


「…兎?」

言い残された言葉にまた子は首をかしげる。兎と言うことは夜兎か?と思ったが、臆病な夜兎などいるのだろうか?どちらかというと狂暴だろう。
さらに、頭を悩ませたまた子はその兎が誰だか知るよしもなかった。






その後、歌舞伎町の万事屋に片手に高級な甘味を持ったテロリストが現れ騒ぎになったのは、また別のお話。









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